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拍手は人を育てる

アルティ声楽アンサンブルフェスティバル2016パンフレットより

習っていたエレクトーンの進度が兄と比べて圧倒的に遅く、練習が嫌で嫌で仕方な かった私がどうして合唱指導を続けているのかと考えたとき、行き当たる記憶が一 つありました。どういう経緯でかはわからないのですが、小学校の1年生の頃に父 親から言われて親戚の結婚式で一人で歌を歌ったのです。それが大絶賛されて、そ の後しばらく「あのボーイソプラノはどこにいる?」「君はウィーン少年合唱団に 入るのか!」と言われ続けていたことがありました。実は、当時、極度の恥かしが り屋で、実際その少し前に人前に出る場面があったのですが、良い結果が出せず( 兄の後ろに隠れてもじもじしていた)父親に厳しく叱られた記憶があり、自分なり に起死回生を掛けて、堂々と大きな声で歌ったのだと思います。以後私の中では、 決定的な自信が生まれ「自分には歌手になる素養がある…」と、どこか信じていた ように思います。何しろ、合唱部がなかった高校時代にわざわざ自ら第九を歌いに 一般 の合唱団の扉を叩いたくらいです。
「軽井沢国際合唱フェスティバル」で松下耕先生が繰り返し言っておられるコンセ プトは「拍手は人を育てる」ということです。人数激減中の同志社グリークラブを 連れて行って、大きな拍手で励ましてもらい自信を持たせることが出来たこともあ りました。しかし、そればかりではないようにも思います。拍手をする側に回った とき、本気になって拍手しているうちに、こちらの胸が熱く高まってくる瞬間に気 づくこともあるのです。「励ましているはずが励まされた」「応援しているつもり が自分も出来る気がしてきた」…、皆さんにもありませんか?
この「アルティ声楽アンサンブル」でも、ともかくたくさん拍手してみましょう。 きっと良い連鎖の始まりだと思います。

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