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こどもコーラスフェスティバル in はままつ
       〜歌は誰かへのメッセージ

合唱は音楽のジャンル中で、「一人ではできない」という要素と「言葉がある」 という要素を持っており、私は合唱活動をするとき、いつもこの2つの観点を 根本に据えたいと考えています。
今回のアトリエでは、せっかくの合同なので、違う学校の子らが「互いの声を 聴き合う」こと、そして「自分の言葉で」しっかりと前を向いて歌うこと…を イメージしておりましたが、それぞれの合唱団の指導者には事前指導をしっかりして いただいており、ことさら強調しなくても子どもたちは勝手にそのことを実践 してくれていたので、非常にやりやすく楽しいアトリエになりました。
また、今回の楽曲《アポロンの竪琴》《やがて音楽が》は私が書いた歌詞でも ありましたので、子どもが退屈しないかと心配しながらも「海」と「空」に パラレルに配置したメッセージ(波と風、思い出と明日、じっとしている貝殻 の中と変化のある雲の形)等の解説もしてみましたが、子どもたちの音色の変 化は著しくて関心してしまいました。いつも思うのですが、子どもを子ども扱い (子どもだからこれくらいでなど…)するのではなく、良い音楽に向かっていく 姿勢には子どもは直感的についてくるので、おとなは常に本気でのぞまないと いけない、と気持ちを引き締めた次第です。
2曲に共通するテーマは「歌が誰かから誰かへの気持ちのメッセージである こと」「歌声が世界を包む日を夢見ること、想像することの大切さ」でも ありましたが、アトリエの練習をした日は広島への原爆投下の日でした。 子どもたちが生き生きと歌っている姿を眺めながら、そこに拍手を送り続ける ことが平和への取り組みに他ならないとも思い、改めて歌の力や子どもたちが うたっていることそのものの重要性を感じました。
小学生から高校生まえ集まっているということも、子どもコーラスのアトリエ の醍醐味でしょう。今回のホールは音響も良く、残響を聴きながら贅沢な 気分を味わえたと思います。

2016年『ハーモニー 秋号』より
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