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演奏の場面で・・・城陽演劇フェスティバル・畷ジュニア

 城陽演劇フェスティバルパンフレットより 
青ライン 2000年6月 青ライン

城陽演劇フェスティバルに寄せて

「伝えたい気持ちがあるから人前にたつのだ!」
演奏会の前には、必ず合唱団員にこう語りかけてきたように思います。
合唱の練習の度に「もっと演技をしないと、詩の内容を語らないと・・・、演じないと・・・」 と言い続けてきた私にとっては、一般的にアマチュアを中心にした合唱の歌い手が演劇から 学ぶことは本当に多いと考えています。合唱の演奏会でも目をつぶって音楽を聴く人などほ とんどいないはずです。不思議と、音楽そのものよりも、良い表情をしているとか、人の醸 し出す雰囲気から音楽の裏にある気持ちを感じることの方が多いのに気づきます。
ギリシャ演劇とコロスの関係性や、オペラやミュージカルの例を挙げるまでもなく、演じる ことと歌うことは一つの卵から生まれてきている不可分の関係であると考えられますし、細 かいテクニックやメトードはともかく、もともと「伝えたいこと」があるから、テキストは テキストとして自己完結するのではなく、役者や演奏者によって魂を与えられ、人を通して 観客に伝えられるものなのでしょうか。

本日の合唱と演劇のコラボレートは、そういう意味で、そのプロセスにおいて演じることや 歌うことの原点である「人間の気持ちの底にある渾然としたものを伝える」ことの意味を問 いただす体験でもありました。
もちろん、全てが試行錯誤、特にシナリオ作りには苦労があったことと思いますが、裏方を 含めて様々な力や個性が支え合って一つのものを作っていく演劇の手法が、様々なパートや 声の個性を組み合わせて一つのハーモニーを作っていく合唱のあり方ともほぼ同一であるこ となどを感じつつ、楽しみながら参加することが出来ました。
今日はひやひやどきどき・・・しかしながら、技術やレベルではなく演劇と合唱が溶け合いなが ら何かを醸し出し客席まで伝わってくること・・・を期待しております。

※城陽市民参加型演劇。ソートン・ワイルダーの「わが町」を翻案し、小学校の合唱団のO Bを舞台にした「月水金は星屑になる」で合唱指導を担当。始めて合唱をするという一般の 方を対象に「夢見たものは」(立原道造/木下牧子)他を指導。
畷ジュニアハーモニー演奏会パンフより
青ライン 2004年3月 青ライン

ごあいさつ

本日はご来場いただき、誠にありがとうございます。
陽差しが戻り、期待と不安に胸騒ぐ季節となりました。
さて、畷ジュニアハーモニーの創設者であり、深い愛情と情熱を傾けて指導して来られた南川 先生よりこの合唱団を引き継ぎ、まる2年が経過しました。
その間、私自身も勉強しながら試行錯誤を繰り返しましたが、南川先生のようになかなか上手 に子供たちを導いていけず、様々な人によって支えられて、なんとか活動を維持してくること が出来た次第です。合唱に関わらずあらためて「人のつながり」や「心のつながり」、「自分 自身のいたらなさ」と「支えてくれる人がいることへの感謝」の気持ちを感じた2年間でもあ りました。「もっと上手く教えないと、導かないと・・・」と、もどかしい気持ちを感じながら練 習を繰り返してきましたが、不思議なほどに子供たちはいつも元気で、むしろ合唱や歌につい て様々なことを教えられ、励まされてきたような気すらいたします。

歌が大好きなメンバーばかりで、笑顔がとても可愛いです。でもちょっと恥ずかしがり屋が多 いのですが、多感な年頃の感受性のあらわれなのでしょうか?
まだまだ練習不足で、お恥ずかしいですが、自分たちのがんばりと歌に対する素直な気持ちを 確認する為にもここにささやかな演奏会を開催することになりました。また、子供たちの歌声 の持つ力、歌おうとする気持ちの大切さ、何よりも無限の可能性をもった子供たちの豊かな心 とがんばりとは、必ず言葉では言い尽くせない大きなメッセージを届けてくれるはずです。

殺伐とした時代を迎えておりますが、だからこそ「歌声」を支える心の豊かさと、仲間を思い 合う「合唱」の魅力をもっと多くの子供たちに認識してもらわねば・・・、とも思っています。
どうぞ一緒に音楽の豊かさを味わいましょう。そして、子供たちの合唱を応援してください。 今日は、精一杯気持ちのこもった演奏をしたいと思います。

青ライン 2007年3月 青ライン

歌はともだち

5年前の3月、同じように桜の匂いを感じる季節に南川先生からこの合唱団を引継ぎました。 児童合唱の経験値が少なかった私にとっては何もかも手探りであり、試行錯誤の連続だった のですが、いつも子供たちの笑顔とがんばりに救われ、「大切なことが何か」ということを 常に教えてもらうことになったように思います。そして今、桜の花を見上げながら振り返って みると、歌とともにメンバー一人一人の顔や表情が思い出されます。
この私にとって何と素晴らしい5年間であったことでしょうか
…和歌山まで遠征してきたこと、上海でたくさんの国の仲間に出会ったこと、合唱祭での歌声、 世界シンポジウムでの晴れ舞台、楽しかった夏合宿や少ないながらもがんばった日常練習の ひとコマひとコマまで…、鮮やかに蘇ってきます。歌が人の人生と関わり、合唱が仲間を結ぶ 絆(きずな)でもあることをメンバーは学んでくれたに違いありません。子供たちの時間の 流れは早く、あの時の小学生が今は高校生です。でも歌を続けていれば、きっとどこかで再会 出来るでしょう。歌はこれからもみんなの人生を励ましてくれることでしょう。

畷ジュニアの子供たち!
ずっとずっといつまでも歌い続けてくださいね。

最後に、創立者の南川先生、お世話になった皆様方、本当にありがとうございました。感謝 の気持ちを込めて精一杯の歌声を会場に響かせるとともに、歌がいつまでも私たちの友だち であることをしっかりと胸に刻むことが出来ればと思います。

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