ナレーション1
皆さんこんばんは
皆さんのところにはサンタクロースが来ましたか?
サンタさんに会いたいと思いますか?
サンタさんは皆さんに会いたいと思っています
クリスマスは年に一度 皆さんに会える日
だからサンタさんも嬉しくて張り切ってしまうようです
今日は子供が大好きで、歌が大好きで、ちょっとおっちょこちょい
そして、ちょっと寂しがりやのサンタさんを紹介しましょうね
クリスマスの大仕事を終えたあとのサンタさんを知っていますか?
サンタさんはおうちへ帰って手紙を読んでいるのです
世界中から集められたお礼の手紙を
子供たちから寄せられた手紙を
一人で読むのです
暖炉にあたりながら
パイプの煙をくゆらせながら
それがサンタさんの楽しみなのです
最近はすっかり涙もろくなってしまったので、子供たちのたどたどしい文字をみたり
一生懸命書いたイラストでも入っているとすぐに涙が溢れてきます
サンタさんの涙は暖炉で温まり、くゆらせたパイプの煙のわっかのように
風船のようにふくらんで部屋の中を飛ぶのでした
手紙1
サンタさんの住んでいる国は寒いの?私の編んだ手袋を送ります。
私にはサンタさんの手のサイズが分かりません。
なので、大きくしてみました。
いつも赤い色ばかりでは退屈かと思って楽しい色にしました。使ってね。
また来年も街に来てね
手紙2
サンタさん、今年はケーキ置いといたんだけど、食べていってくれたんだよね。
朝には無かったから。
美味しかった?お母さんの手作りケーキだよ。僕もたくさんお手伝いしたよ。
いろんなおうちでケーキ食べてるの?うちのが美味しかったらいいな。
でも太るから食べすぎには気を付けてね。
手紙3
サンタさんとうちのお父さんは声が似てるね。
クリスマスの夜に寝たふりして少し声を聴いてたんだ。
プレゼントありがとう。
元気で長生きしてね。
サンタさん。
手紙4
サンタさん。
どうしたらピアノが上手になりますか。
お友達はすらすら弾くのに、私はちっとも上手にならないの。
先生はもっと練習しなさいって言うけれど、私は一生懸命やっているの。
コツとかあるの?サンタさんはピアノ弾ける?
私はあんまりピアノが好きじゃないの。
手紙5
ずっと前サンタさんがおばあちゃんにくれたオルゴール、去年おばあちゃんが亡くなって私がもらったんだけど、
大切にしてたのに壊れてしまったの。
お店屋さんに持って行ったら型が古すぎてだめなの。サンタさんなら直せる?
お願いサンタさん。
ナレーション2
まあサンタさんも大変ですね
…いくつかの手紙には気持ちが残り
何度も何度も読んで
気になりつつも
サンタさんはやがて全ての手紙を木箱にしまい
トナカイに運ばせて
森の奥の大きな松の木の根元に埋めるのです
子供たちの気持ちのこもった手紙は
きっと森の精霊たちのエネルギーになるのです
ナレーション3
春になりました
サンタさんの暮らす森の外れでも
雪が溶け
せせらぎの音が聞こえます
春は橇の手入れをする季節です
サンタさんは金槌と木片とカンナを取り出してきて
少し削ったり
取り替えたり
金槌で叩いたりして
楽しそうに橇の手入れを行っています
ナレーション4
やがて 森には
色とりどりのベリーが顔を実ります
サンタさんは
たくさんのベリーを籠いっぱいにして持ち帰ると
ジャムを炊くのです
クランベリー ラズベリー 金色をしたクラウドベリー
どれもとっても美味しいのですよ
ナレーション5
ベリーの次にはキノコの季節がやってきますが顔を出します
森ではそのまま冬になるまでいつでもキノコが穫れます
サンタさんはキノコも大好きなのです
そして特にキノコ料理が何より得意
年中いつでもキノコ料理を作っています
ナレーション6
北の森にも夏がやってきます
夏は水と空気の美味しい季節です
サンタさんは恵まれた自然からもたくさんの力をもらうのです
きらきらとした日差しに誘われてサンタさんはまたまた大好きなことをしています
マス釣りです
陽射しが強くなり
木洩れ日が川を煌めかせる頃
サンタさんは小さな船を川に浮かべて一日中釣り糸を垂らします
夜には連れたマスを焼きながらきつーいお酒を飲みます
ぱちぱちと燃える火を見ながら
釣った魚を口いっぱいに頬張りながら
いつまでも暮れない白夜の空を見上げます
一人ぼっちは少し寂しいけれど
自然を満喫することで
サンタさんにはエネルギーが宿るのですよ
ナレーション7
陽射しが弱まり夏が過ぎると
のんびり釣り糸を垂れているわけにもいかず
少しだけそわそわした季節になります
ナレーション8
その頃になると
サンタさんの家には
新しい商品のカタログが届くのです
知ってましたか?
おもちゃや 子供用の服
靴や帽子やマフラー 本や 雑貨や文房具
サンタさんは壊れたオルゴールの部品もしっかり調達していました
でも ときどきふとサンタさんは寂しくなります
ずっと一人で暮らしているのですから
当然ですよね
皆さんならどうしますか
そんなときサンタさんは歌います
懐かしい歌を
過ぎていく時間を眺めながら
暖炉に薪をくべながら
サンタさんは歌います
若い日の歌を
子供たちが良く歌ってくれた歌を
よく聞いた懐かしい歌を
ナレーション9
秋が深まると
サンタさんは木を使っていろんな物を作り始めます
最新のロボットやテレビのヒーローだけでは味気ないでしょう
手作りのコップやスプーン おもちゃや雑貨
切ったり彫ったり 組み立てたり
木の扱いはお手の物
手作りの汽車やお人形が次々出来てきます
それから色とりどりのキャンディーを作ったりもしています
ペパーミントやベリーの味付けをしながら
子供たちからは 新たに手紙が届き始めます
こんなプレゼントが欲しい、とかなんとか
サンタさんもそわそわしてきます
早く子供たちと会いたいな…
早く街に行って色とりどりの灯りや賑わいを味わいたいな…
そんなことを思いながら
大地は徐々に凍てつき
湖には氷が張りだします
生き物たちは静かな眠りにつき
森にも冬が近づきます
ナレーション10
雪が降ってきました
森はあっという間に真っ白な王国です
サンタさんは窓から降り積もる雪を見ています
届いた手紙に目を通しながら
高まる気持ちを抑えながら
手紙6
サンタさん。
私はまだちっともピアノが上手にならないの。どんなご本をみても駄目ね。
プレゼントに、ピアノが上手になる魔法の手袋ください。
手紙7
サンタさん。
僕は世界が平和になってほしいと思っています。
戦争をしている国や、とても子供が学校へ通えないほど貧しい国があると知りました。
そんなところにはサンタさんがいないのでしょうか。
その代わりに僕らが何か出来ることがあればいいな。
ナレーション11
…いろんな手紙が来るのですね
サンタさんも喜んだり困ったり、考え込んだり大変です
でも、子供たちと手紙を通じて会話をすることもサンタさんの楽しみです
手紙11
サンタさん。覚えていますか。
僕は、30年前にサンタさんからもらったプレゼントが忘れられません。
サンタさんは僕に温かい帽子をくれました。僕は泣き虫だったけど、その帽子に勇気をもらった気がして、サンタさんが見てくれているから頑張ろうと思ったのです。あの頃お礼の手紙を書けばよかったのですが思い浮かびませんでした。
僕は結婚をし、この冬子供が産まれました。またいつか覗いてください。
サンタさんからもらった帽子は大切にとってあるので、そのうちこの子に被せるつもりです。
ナレーション12
…時々大人からも来るのですね
ナレーション13
サンタさんはトナカイの世話をし
入念に橇の手入れをしながら
橇に鈴を付けます
クリスマスが近づくとにつける特別な鈴です
鈴の音には祈りや願いがこもっているのですね
ナレーション14
さあ 待ちに待ったクリスマスイブの到来です
サンタさんは随分早起きしてしまいました
まだまだ眠たそうにしているトナカイを起こすと、とびっきりのごちそうを食べさせました
蜂蜜入りブレッド
トナカイがそれを平らげるといよいよ出発です
サンタさんはたくさんのプレゼントを橇に積むと、張り切って家を出発しました
橇が滑ります 鈴の音鳴らして
クリスマスの到来を森中に知らせながら
真っ白な風景の中をどんどんどんどん走っていきます
やがて
街が見えてきす
ナレーション15
街には音楽が流れ 色とりどりの灯りに溢れて賑わっています
あらゆるところにクリスマスツリーやリースが飾られています
サンタさんは賑わう街を歩きます
そして手紙をくれた家を一軒ずつ覗き込みます
この冬パパになったあの子 立派に成長して学校の先生になっているようです
オルゴールの女の子は留守だったので、直したオルゴールを彼女の机の上にそっとおいておきました
世界の平和を願う少年には寝静まった頃に髪をそっと撫でておきました
想像力のある立派な人に育ってほしいと願いました
そうそう あのピアノの苦手な女の子
サンタさんは女の子の家に行って一緒にピアノを弾いてみました。とびっきり楽しい音楽を
するととたんに女の子の目は輝き、ピアノに興味を持ってくれました
きっと、魔法の手袋なんてなくても上手になるでしょう
サンタさんはいろんな家を覗き込みます
煙突から入ってみたり 窓の外からのぞき込んだり
玄関のチャイムを鳴らして笑顔で挨拶することも
さぁ、楽しいクリスマスです
ナレーション16
素敵なクリスマス
世界がひとときの安らぎとやさしさを求めるとき
世界がひとたびの希望を見出す日
世界が心を合わせる日
サンタさんは祈ります
みんなにとって良いクリスマスになりますように
世界中の人にささやかながら良い時間が訪れますように
憩いや 希望が訪れますように
特に子供たちが 明るくのびやかに過ごしてくれますように
元気に未来を夢見てくれますように
やがて クリスマスの夜は更けていきます
子供たちは寝床で目を閉じて 代わりに夢の扉が開いていきます
大人たちは寄り添って ゆっくりと 物語を語り始めます
ナレーション17
サンタさんは窓から子供たちの顔を覗き込むと
名残惜しそうに何度も振り返りながら帰っていきます
一年で一番楽しい日
そして最後にはちょっと寂しい日
でも
いいのです
サンタさんは子供たちの心とつながっていると思うことでまた一年頑張って過ごせるのです
ナレーション18
サンタさんのお話はこれでおしまい
皆さん
さびしがりやで
心やさしいお茶目なサンタさん
見かけたら手をふってあげてくださいね
いつもありがとう
って言ってあげてくださいね
そして
さびしくないよ!
いっつも僕たちの心の中にいるよって
言ってあげましょうね
いつか皆さんがサンタさんのように、心穏やかに誰かにやさしく出来る日が来ますように
ね、
メリークリスマス
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