女の愛と生涯


1.あなたに出逢ってから

出逢ってからこの瞳
見つめるのはあなただけ
胸に浮かぶ幻は
闇の底から
鮮やかに

他のこと色褪せゆき
私を呼ぶ声聞こえず
あなたを思い窓辺に立ち
心は乱れ
悩む日よ


2.世界の誰より

世界の誰より麗しき方
凛々しき口元
瞳は明るく

遥かの彼方に光る星の様に
私の心の空に煌く

私は見つめる
清らな輝き
悲しみ喜び
渦巻く胸で

私の祈りをあなたは知らない
でも
私のことは構わないでいいのよ
ああ、貴(とうと)き方
世の乙女の中で選ばれた方を
私は讃えたい、心より
微笑むあなたを見つめていたい
この気持ち破れ、砕け果てても

世界の誰より麗しき方
凛々しき口元
瞳は明るく

ああ、愛(いと)しき方よ


3.ああ、これは夢なの

ああ、これは夢か、幻なのか
愛するあなたが、私にかけた言葉

あなたは語った
永遠(とわ)の愛を
あなたは誓った
それは夢か幻なのか

夢ならこのままで
私を死なせて
あなたに抱(いだ)かれ
この身を閉じたい

ああ、これは夢か、幻なのか
愛するあなたが、私にかけた言葉

ああ、これは夢か、幻なのか


4.私の指の指輪よ

私の指の金色の指輪よ
あなたを抱(いだ)き
口づけし
私の胸の扉開く

幼き日の夢も楽しき語らいも
今は遠く去りて一人悩む日々よ

指輪よお前を見ると
心晴れ渡り
夢の輝きに私は気づき頷く

あなたは私の命の源(みなもと)
あなたとともに生きていく
この命尽き果てるまで

私の指の指輪よ
永久(とこしえ)に輝け
あなたを抱(いだ)き口づけし
私はいま心に誓う


5.さあ、妹よ

さあ、妹
手伝って
綺麗な服を纏(まと)わせて
私の額(ひたい)にもミルテの花を飾ってね

私が微笑んで
あの人のもとへ行けば
あの人はもどかしくこの日のことを待ち詫びた

さあ、妹
私を見て
心配ないよ、と言ってね
憂いなど見せないであの人を迎えたいの

愛(いと)しいあの人を笑顔で迎えたいの
今日からは、私はあの人とともに生きる

さあ、妹
薔薇を取って
あの人を飾ってよ

でも妹よ
あなたとは今日が最後の日よ
そっと手を握らせて


6.トロイメライ(夢見るあなたを見つめ)

夢広がりゆく
ほのかな秘密の物語

薔薇の蕾ほどけ
甘き香りのみ漂う

眠れ、風に抱かれ
雲から翼が舞い降りる

時、扉開き
遠き星の空彷徨う

波、押し寄せる
夕べの私の涙

この苦しみさえ
あなたの寝息に消え行く

窓辺、日差し溢れ
瞼に微笑み訪れる

夢の物語は
いつの日か、私に、お話してね



7.あなたには分かるまい

あなたは分からないでしょう
涙込み上げる訳を

輝く真珠の光が
この心から溢れる

胸は喜び戸惑い
言葉探して彷徨(さまよ)う
あなた、この胸の中で
私のささやき聞いて

愛(いと)しいあなた
分かるでしょう?
私の流した涙の訳を

どうか聞いて
離れないで
私の胸の鼓動の高鳴り!

ああ、
私たちの憧れ
揺り籠の中に隠して

夢から覚めた朝には
あなたの微笑む姿が浮かぶの


8.この胸に抱いて

この胸に抱(いだ)かれ目を閉じる我が子よ
愛するこの喜びは、言葉には出来ない

私は幸せよ
この胸に抱いて
我が子を育み
愛する幸せよ

私は気付いた
愛する喜び
母の身となって
幸せの真実に

天からの恵みよ
美しい微笑みよ

この胸に抱かれて私を見る我が子よ


9.胸の痛み

ああ、胸の痛みはこの身を引き裂き
あなたは冷たくここに眠る

私は涙も枯れ、今は空しく
二人の日は過ぎ
ただ、一人きり

私の世界は幕を下ろす
あなたとともに生きた
私の…


10−1,2.かけがえのない夢の日々

(10−1)
私にもかけがえのない日々があった
でも、それも今は思い出
私の目の前にはお前がいる
私の娘の娘
愛しいお前が着飾っている

きいておくれ
私の最後の言葉を
お前を祝福する
私の言葉を

私もすっかり年を取り
髪も白くなったけれど
かつては胸をときめかせ
ミルテの花で飾られた
お前のように輝いていた
お前のように恋をして
お前のように結ばれた

喜びも悲しみも
時の流れに任せなさい
ただ変わらない真実を
お前の中でお持ちなさい
それは愛すること
誰かを愛すること
愛することはお前の真実

私があの人を葬ったあとも
私は変わらぬ愛を持っていた
悲しみに心が張り裂けようと
苦しみに胸が破れようと
愛する気持ちが私を支え
愛する気持ちが勇気となった

私がこんなに年老いても
愛は美しいあかりとなって
私の心に灯っている

聴いておくれ
私の最後の言葉を
触れておくれ、
私の手に
私の指の指輪に
それは私の言葉


(10−2)
お前の心が砕けそうになっても
お前が涙にくれる日々を過しても
勇気を持ち続けて欲しい
愛はときに大きな悲痛に変わるもの
でも、愛することの痛みすら
お前の命を支えるのだから
愛することは人生の宝物だから



2019.12
作曲:千原英喜   2019

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