言葉のメモワール
翼
ある朝
天使の翼が落ちていた
野原に
眩しい光を放ちながら
葡萄のような匂いを漂わせながら
あたりをタンポポの綿毛が飛んでいた
でも
誰にも見えなかった
私にしか
今日天使が一人
人間の子供になったんだ
どこかに紛れ込んで遊んでいるんだ
そう思うと嬉しくなった
私はその子に出会えそうな気がした
ある朝
それは花冷えのする四月のことだった
2011.5.16
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