言葉のメモワール


少女はこの道を通い続けた
愛しい人に会うために

少女にとってはこの道が世界の全てであった
踏みしめる土が
空気の湿り気や木々の匂いが
曲がり角の具合や風景の全てが
自分の気持ちと混ざりあった

愛しい人とすれ違う
その僅かの時間
胸に温めた気持ちを
少女は精一杯に生きていた

愛はかなわなかったが



2010.12.1

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