言葉のメモワール

映画館


世界の果てには
一軒の古びた映画館があった
風雨に耐えながら真っ直ぐに延びる一本道を辿っていくと
ちょうどそこが鉄道の終着のようになっていた
道の突き当たりが映画館なのだ
表には昔見た古い映画の看板が架かっていた

入り口に人はおらず
その向こうはトンネルのように暗くて何も見えなかった
振り返ってはならなかった

ただ呼び声が聞こえた
「今日までだよ」と
懐かしい声のように思った

あたりはいつの間にか夜で
流れ星が一つ落ちた


2010.12.1

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