言葉のメモワール
六月
六月の何気ないある日が
道端の名も無い石のようにして存在している
しかし
六月の何気ないある日は
いつかのあの日として記憶に留まるのだ
夏を思わせる白い雲が
緑の葉から覗く陽光が
何事も無かったかのように時間を進める
空にこだまする静寂と
アスファルトに反射した太陽が
時空を越えたある日のページに折り目をつける
謎に満ちた雨音が
不可思議なカタツムリの触覚が
ガラスの窓を時間の扉に変える
またいつか
私があの日を振り返るときのために
やがていつか
現実と幻想の間に身を横たえるときのために
2011.5.16
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