「歌にまつわる歌詞を」ということでストレートなご依頼をいた
だきました。大田桜子先生に曲にしていただことが大変楽しみで、
わくわくしながら書かせてもらいましたが、拙作をのびやかで力
強く、表情のある素敵な組曲にしていただけたことに感動してい
ます。これから旅立つことになる若い合唱団とその人生の先輩で
あるOBOGの皆さんにいっしょに初演していただけるというこ
とも、「気持ちを織り成す」という意味で大変に嬉しいことでし
た。
さて、どんなに素晴らしい歌でも、歌は決して楽譜の中で完結す
るものではないと思います。歌は歌われることによって命を宿し
ますし、歌は聞き手のもとに届くことで初めてそのミッションを
果たすものなのでしょう。
聞くことは愛を受け止めること、歌うことは願うこと、祈ること、
他者に対して思いを馳せ、想像すること、…この循環の中心には
心があり、瞳があり、身体があり、体温があるような気がします。
悲しみ、喜び、苦しみ、希望、懐かしさ、すべてが歌の源で、一
人一人の人生に物語があるから歌が生まれるのですね。
さらに、合唱団とは、一人ひとりがかけがえのない存在でありな
がら、決して一人で完結するのではなく、チームとして全体とし
て表現をすることを模索するメカニズムを持っています。
歌うことは生きること。
ともに歌うことはともに生きること。
そう思っています。
この歌が多くの仲間に歌われることを願っています。