私たちはいつも季節とともに生きているように思います。
風や雲や空の色、木の戦ぎ、…自然の色合いや風景だけでなく、年中行
事や(季節の)旬のものを目にしたときの胸のときめきも、寒空を駆け
込んだ家のぬくもりや、頬に当てた手の冷たさも、…全て季節を伴なっ
た記憶であり、温度や湿度さえもが私たちの思い出を彩っているように
思います。
「いつかの木から」はそんな季節への思いや思い出が散りばめられてい
ます。詩は、合唱団を想定して作った終曲以外は纏めて作ったものでは
ありませんが、作曲家の北川昇さんが私の詩から絶妙なチョイス(配列
も)をされ、素敵な曲集に仕上げられました。私たちの思い出はきっと
リアルな体験だけではなく、夢や不安や憧れをも含んだ心の思い出でも
あるでしょう。また、思い出は、振り返るばかりのものではなく、私た
ちが絶えず迷いながらもその時々の感情と語り合ってきたことを教えて
くれ、前に向かって生きていくための励ましにもなリます。胸の鼓動に
耳を澄ませながら、季節感を楽しんで歌っていただけると幸せです。