夢見る魚のあぶく
by みなづきみのり

夢にこだまする めっせーじ


これは、日頃から敬愛する高嶋みどり先生が、ある「ボスざる」の新聞記事をご覧になられイメージされた原案に対して、私が想像力を膨らませて詩と物語構成を書いたものです。初演はナレーションで物語を進行させ、照明や演出を入れて「合唱ミュージ カル」とでも言うのか、歌い手たちが躍動する衝撃的!なステージになりましたが、それぞれの合唱曲が素晴らしいので、その膨大な作品 の中 から手軽に取り上げてももらえるよう演奏会用の組曲に再編していただきました。(ちょうどグリーグの「ペールギュント組曲」を思い出します。)

私のテキストは決して「猿の一生」を書いたものではありません。擬人化したものであるだけではなく、どちらというと夢見ながら懸命にこの世を生きることそのものに伴う孤独、(もう少し言うと、ある種の抗えない運命のようにものに対しての反発や、 その中で感じる孤独や、高邁過ぎる理想ゆえの絶望)、その反作用としての愛の希求、そして、悩み抜いた者だけが到達する人生の境地のようなものを描きたかったのだと思います。

主人公は、最初はラスコーリニコフ的とも言うべき孤立感を抱えたまま自問自答を繰り返しますが、やがてもっと大きな宇宙の摂理や、周囲からのサポートを感じ、自分自身が一人で生きているのではなく、生かされている存在であると気づきます。魂の彷 徨、若さゆえに感じる孤独、絶望を避けるのではなく、それらを「乗り越えて自分自身の生きる道を模索し見つけていって欲しい」という思いを込めたテキストになっているように思います。


P.s
私にも、天体望遠鏡を買ってもらいと思いながらずっと星空を眺めていた幼い日がありました。どんなに一人ぼっちだと思っても、夜空の星は私たちのことを見てくれていますね。「昔から星を」は、私が特に大好きな曲でよくこっそり歌っています (笑)




Copyright©Minazuki.Minori All rights reserved