あの日の風の音

ソーダー水のように


プールサイドのテーブルで
夏の日差しを遮りながら
ソーダ水のあぶくを追った
沈むチェリーに頬寄せながら
浮かんで消えるあぶくを追った

あなたは遠い向こうの街にいる
私はあなたに手紙を書いている
子犬が私の足にじゃれている
あなたに私の気持ちは届かない

手紙は書き終わらないうちに破って捨てた
誰かの帽子が風にさらわれた

恋はソーダー水のあぶくのように

夏の匂いを残しながら
秋が来るのを待つこともなく
静かに消えていくだけなのだ



2011.5.16
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