空を泳ぐ魚

魚（うお）は流線型をした一つの思想である。

悲しみのあばらを反らせ
嘆きの岩礁に身を捩じらせ
夜明けの浜辺に打ち上げられる

魚は思想である

不機嫌な眉が何かの象徴であるのに対し
流れる水や光が被写体であるのに対し
美や遠まわしの意味合いを越えて
一つの思想であることを主張する

魚は
空を流れる思想である
雲を横切る思想である
波間を飛び跳ね，流星に紛れる思想である

夢が砕かれても
生命（いのち）が朽ち果てても
思想が残るように
魚という思想は宇宙を泳いでいる