私は空に手を触れる

果てしない助走


僕らは
駆けている
まだ日の上らない砂浜を
いつの頃からか
全力で
息を切らしながら
僕らは駆けている
長く伸びた滑走路を
飛び立つための果てしない助走として

鳥を思う
グライダーを思う
轟音を上げるジェット機を思う
目的などとうに忘れている。
ただ
星を目指し
彼方を目指し
僕らは走る

風が髪をなびかせる
波が起こり、飛沫が全身を打つ
血が脈打つ
潮が肌を差す
朝焼けが頬を焦がす

風に乗れ
雲に乗れ
僕らよ
高く飛べ
早く飛べ
心よ

僕らは鳥になる
夜明けの空を目指して
僕らは走る

飛び上れ
海を越えよ
手足よ
僕らは翼広げる
夜明けの水平線に向けて

僕らは走る
果てしない助走として
永遠のように長い滑走路を
僕らは走っているのだ




2012.8.29
作曲:相澤直人  風にのれ、僕らよ 2012
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