私は空に手を触れる

はるまち


さびしさや
せつなさや
思い出と戯れ
悲しみと苦しみと
何かを耐え
何かを望み
日差しとひかりを待っている
そよ風ふくのを待っている

やさしさや
よろこびや
あこがれを抱き
挫折や絶望や
何かを乗り越え
何かを諦めず
蕾が膨らむのを待っている
新しい香りを待っている

春はまだ遠い
はるかむこうのほうだ
でも、何かが少しずつ近づいてくるのがわかる
色が変わり、音が変わる
鼓動が変わり
脈拍が変わる
耳をすますと何かが聞こえる

私ははるをまつ
しずかに呼吸しながら

私ははるをまつ
なすべきことをゆっくりと考えながら

まつことで
私たちは少しずつ育ってい
芽吹く前の熱い緑のように
少しずつ

だから
私はまつ
春をまつ



2012.12
作曲:瑞慶覧尚子  あなたとわたし 2013
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