まだ名前のない木

〜木の奥(きのおく)、記憶の迷路としての木


…言葉はざわめき、熱く饒舌に語り、主張し、やがて疲れ、忘れられる。
木は言葉を忘れ音楽を奏で続ける。風とともに、日差しとともに、雨 とともに、土とともに、鳥や空とともに。その迷宮のような奥にある、 記憶に身を委ねながら。

天才作曲家である松本望さんには以前から詩から曲を作ってもらっている。 作詞者の存在を越えてテキストに世界の本質を見つめて、自らの音楽を紡ぎ だされ、組み合わされ、独自の世界を築かれていく才能にはただただ唖然と する。大地から木へ、木から大地へという営みは、まるで、心から言葉へ、 言葉から音楽へとも思える。そしてまた音楽から心へ。素晴らしい音楽家の存 在が、世界を循環させると信じる。












2012.12.16
初演パンフレットのメッセージ
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