かえる 雨あがり (全13ページ)




蛙は哲学者であった
もちろん大学教授とか職業人としての哲学者ではなく
一般的な意味において
いや、本質的な意味において
深く思考をすること
生命や宇宙という漠然としたものについて思いを巡らすという点において
自然を現象や実利としてではなく概念として見る目において
思考には数学と想像力が組み合わさるという点において
蛙は哲学者であった
蛙は蓮の葉にのって何かを待っていた
黙って
感情のようなものを噛み締めたまま
待っていた




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