さびしい魚のおはなし (全14ページ)




さびしい魚は一人で海を泳いでいた
仲間はどこにもいなかった

いつからだろう?
なぜなのだろう?
自分はどこに向かっているのだろう?

さびしい魚は、あるとき「自分がいる」ことに気付いたのだ
それ以前のことは分からない
自分のことについてもまったく分からない
ただこれだけは分かる

自分は海を泳いでいる
大きな広い海を一人で泳いでいる

今はさびしくはない


                                  fish


Copyright©Minazuki.Minori All rights reserved