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 コンクールが終わり、ひとまずひといき

06−01 2006.12.6

さて、今年もコンクール(全国大会)が終わりました。コンクールには素晴らしい側面もある反面、 どうしても時間的、選曲的制約があって(特に忙しい社会人男声の集団)、私の様々なストレスの 原因になっていることも事実です。クオリティを上げるためにコンクールを利用するのが有効であ ることは間違いないのですが、「人生は短く、出来ることは限られている」というふうに考えると、 特に「なにわコラリアーズ」が男声合唱のジャンルにおいてチャレンジしたいことはほかにもある ような気持ちがしてきており、来年でコンクールへのチャレンジに区切りをつけて別の活動にエネ ルギーを注ぐ「時間を確保」したいと思っています。(私のコンクールに対する提言は別項参照→ 耳をすます「合唱界への提言」)

今年が8回目の全国大会でしたが、初めて全国大会への出場を果たした広島大会のことをよく覚え ています。団員の誰もが段取りも分からないままホールに来ると、まるでベルトコンベアーに乗せ られたように次々誘導されて、あれよあれよという間に本番が迫ってきたものでした。内心どきど きしながら昼食弁当を食べていると、出演順番の近かった「伊丹混声合唱団(当時)の指揮者の清 水さん」が私の緊張した顔を察してか、私に向かって「がんばってね」と声をかけてくださり、握 手をしていただいたのでした。もともと私自身は合唱界に入ってから誰かの教えを受けていた訳で も知己を得ていた訳でもなく、大学時代の付き合いも疎かったので、連盟にはほとんど知り合いの いない状態でした(「一匹羊」)。実は清水さんとも一度もお話したことがなかったのですが、こ の時、清水さんが初出場の私を気遣って声を掛けていただいたことをとても嬉しく覚えています。

今年の熊本では、演奏後に宿泊出来た「なにわコラリアーズ」の仲間で熊本城に向かって歌を歌い、 加藤清正像に歌を奉納するなどの楽しいひとときを過ごせました。私にとって大変親しみのある地 域にもなっている熊本の皆さんの行き届いた気遣いで出演団体は気持ちよく演奏出来たと思います。 演奏内容に関しては、当日しか集まらない団に対する私の練習段取り不足と基礎能力不足を露呈す るさまざまな傷のオンパレードでしたが、もともとコンクールにおいて、男声合唱ならではの大ら かな音楽、何か印象に残ることをしたいと思っていた団体ですので、昨年今年とパフォーマンス付 きのユーモラスな北欧民謡を披露出来たことで満足でした。コンクールが頂上を目指す集まりでは なくて、音楽やアプローチの多様性を再認識させてくれる場であることを当たり前に思えるように なることが、合唱界の発展の本筋であると思うからでもあります。ついでながら、もう1つの出演 団体であるVineについても若干の動きを入れたステージングでコンクールに臨んでいますが、世界 合唱シンポジウムをたっぷりと経験した京都の合唱人としては、直立不動合唱からの脱却(しかし 我々はラテン人ではなく奥ゆかしい日本人でもあるから、無茶なことは出来ない。。。)というと ころへの子どもっぽい試行錯誤でもあることを宣言しておきます。

「なにコラ」に関して言えば、来年は初心に帰ってもう一年だけコンクールを利用して「上手くな ること」を目指し、その後は「男声合唱ってカッコいい」ということをアピールする活動で全国の 歌仲間とのジョイント、もしくは中学や高校で「合唱は楽しい」ということをアピールする活動が 出来たら良いなあと思っています。男声合唱を定年後のノスタルジーの集積場所としてだけに留め るのではなく(もちろんそういった機能があることは素晴らしいことですが)、アクティブな趣味 として、憧れの対象として見て貰えるようなことに貢献していきたいというのが、有言実行者とし ての私のロマンでもあります。

さて、これから年末。
学生の合唱団との付き合いが多いです。私自身はもともと学生時代の合唱に強烈な思い出を残し、 合唱を続けたいと思った人間ですので、学生相手の演奏会こそは最も力を注ぎたいと思っていたこ とでもあります。それぞれのメンバーの中に一生の思い出として刻まれる定期演奏会に自分のエネ ルギーが少しでも貢献出来たらと思います。その中から歌や音楽や合唱を続けてくれるメンバーが 増えれば嬉しいことだと思いますし、私の師であった福永陽一郎先生(故)が喜んでくれることで もあろうなあと思っています。

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