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 テオ・アンゲロプロス!

12−02 2012.1.26

巨星が消えました。
今世紀最大の衝撃と失望が芸術の世界を襲いました。
ギリシャの哲学者、映画監督のテオ・アンゲロプロスが事故で亡くなったのです。
しばらく呆然としてしまいましたが、身内や友人の死以外で、大きな衝撃を受けた死は、 例えばアンドレイ・タルコフスキー、手塚治虫、武満徹、の死以来でしょうか…?
間違いなく現存する最高の芸術家、映画監督で巨匠と呼べる最後の人だったとも思います。 76歳でしたから、あと3作品は撮って欲しかったです。この世に財産を残しておいて 欲しかったです。
私の人生との関わりは「シテール島への船出」からでしょうか?
「霧の中の風景」「こうのとりたちずさんで」「エレニの旅」も大好きでした。長い映画 ばかりでしたが、いつもその時間の渦の中に引き込まれ、この状態がこのまま8時間く らい続いて欲しいと思っていました。

伊東恵司大学時代(2011年の終わり)に戻って、追悼詩を記します


「アンゲロプロスに捧ぐ」

テオ!
白雲なきギリシャの空
青空なきエーゲ海
暗き波の飛沫よ
霧に覆われた樹木の呻きよ

越境の旅人は船に身体を横たえ
瞳を失ったユリシーズは何も語れず
言葉を禁じられた旅人はようやくアコーデオンを鳴らすのみ
軍靴に踏まれた石畳で
軍旗はためく路地で

沈黙よ天を呪え
その慟哭よ
雷鳴となり涙の雨を降らせよ

不在への旅
思うものと思われるもの
忘れることと思い出すこと
夢が
思いが
時間(とき)になり
時間(とき)は大河となる
テオよ

世界が泣いている
心は帯のように垂れていく
海の遠鳴りよ

あとには腐敗した林檎の甘き香りのみ
世界よ
記憶よ
記憶を刻印する瞳よ
暗闇の中の夢よ

by.Keishi.Itoh


「目をひらく」 より
こうのとり、たちずさんで
テオ・アンゲロプロス 〜映画と世界の距離感〜
エレニの旅

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