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 雪の金沢にて 
                〜ただたけだけコンサートvol3〜

12−03 2012.4.18

ことじ灯篭 2009年に京都で始まった「なにわコラリアーズ」の新企画「ただたけだけ コンサート」は一昨年の山口でのオール中原中也特集を経ていよいよ第3弾を 迎えました。今回は北陸の地で、北陸の曲を歌おうと企画し、冬の金沢での演 奏会となりました。もちろん裏目的は、美味しい酒と肴を求めての旅というわ けですが…。

よく言われることですが、多田作品の魅力は、まずテキストとなる詩人や詩の選 び方、「詩の選択眼」とも言うべきものから成立しているのではないかと思い ます。近代抒情詩を中心に取り上げ、あたかも詩の中に内在していたとしか思 えない歌や音楽を見抜き、それに忠実にメロディーとハーモニーを紡いでいく 様は、歌い手の気持を描き立て、特に男声合唱の世界においては決定的な影響 を与えてきたことと思います。演奏したい曲は山ほどあるのですが、一人の詩 人の曲だけを取り上げて、その諸相と多田武彦の曲作りの視座を読み解くこと にもなった前回とは異なり、今回は、堀口大学(「雪国にて」)、田中冬二 (「北陸にて」)、北原白秋(「白き花鳥図」)という全くタイプの異なる 三者の詩を歌うこととなりました。選曲中「白き花鳥図」だけが、北陸や金沢 との関係性を見つけにくい曲ではあります。これは、単に私が白秋好きである ことが理由だったのですが、兼ねてより信頼いただいている多田先生からお電 話をもらった時も、「白という色を金沢という場所に結びつけるあたりは、さ すが伊東さんっ!」と言われてしまい、後付け?ではありますが、金沢の格調 高い美意識や風物、抒情を白秋の美意識と結び付けての選曲をしたということ にしています。(…終曲の「白鷺」は名古屋から金沢・北陸に向かう特急列車 の名前でもありますしね。)

さて、金沢については、父母(にとっての思い出の土地でもあり)と幼い子を 連れて旅行に行った場所でもあり、かつて金沢大学の客演指揮(一度は阪大混 声とのジョイント)を二度ほどさせてもらった経験もあり、非常に懐かしい土 地でもあります。そう言えば金沢大学のメンバーが、早朝に駅まで見送りに来 て、動き出す電車とともに手を振りながら一斉にホームで走ってくれたりした こともありました。せっかくなので、一日前に金沢入りをしたのですが、(何 と偶然その日が金沢大学合唱団の演奏会だったので)みんなで金大合唱団の演 奏会鑑賞し、会場では当時のメンバー数人と再会することも出来ました。

金沢駅 最近の金沢としてはこの時期には珍しいことらしいのですが、その頃から雪 となりました。お酒を飲み、雪を眺めながら演奏会を迎えられることの情趣 は格別のものです。確かに「白く舞う雪と金沢の町」の組み合わせは美しく、 多田先生のおっしゃる通りだと思いました。翌日の演奏会はもちろん雪の舞 う中の開催となりましたが、石川県立音楽堂の響きも素晴らしく、温かい拍 手にも応援されて素晴らしい経験をすることが出来ました。演奏会開催に向 けてご協力いただいた女声合唱団「杏」の皆様に加え、お世話になった関係 者の皆様方に感謝申し上げます。

P.s
第4弾は北海道でしょうか?
「吹雪の街を」「北斗の海」「雪明りの道」らが控えております。
いや、実はその前に3.5を行なうのでした。
長野にて「尾崎喜八の詩から」。これは女声合唱団しなのさんの演奏会へ の賛助出演という形式を取ります。(11月10日、乞ご期待)

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