だから

からだをだいじにね
と かあさんはいった

からだをきたえろよ
と とおさんはいった

もらったからだだから
あたえられたいのちだから
ぼくのからだはたくさんのリレーをへてここにある

このまゆはおじいさんにそっくり
このはなはおばあさんにそっくり
おなかがすぐにいたくなるのはとおさんゆずりで
かみのけのやわらかさはかあさんゆずり

かっこよくもわるくもないけれど
みんなもらったからだだから
みんなからうけついだからだだから
だから
ぼくはぼくだけどぼくだけのぼくではなく
きみはきみだけどきみだけのきみではない

たいせつなからだだから
このよにひとつしかないからだだから
ぼくらは
たったひとつのじんせいをけんめいにいきる
このからだとこころで
このこころとからだで

まだまだこれからだから
いよいよこれからなのだから
そう からだにいいきかせながら
ぼくらはいきるのだから



北川昇