人は始まりと終わりの真ん中で

人は
探し物ばかりしている
最初から自分がもっていなかったものを
この世の中にはないものを
探しても見つからないものばかりを

人は
夢ばかりみている
曲がりくねった夢ばかり
歪んでいく夢ばかり
いつも
いつまでも

人は
嘆いてばかりいる
失ったものを数え
手の届かないものを思い
何でも誰かのせいにして

人は
嘘ばかりついている
悲しいのに悲しくないと
寂しいのに寂しくないと
愛しているのに愛してないと
愛されたいのにほっといてくれと
嘘をつくために言葉を覚えたりして

人は
旅ばかりしている
雲のように空を
波のように海を
どこかに留まらず
遠くに自分の故郷を思うために

人は
傷つきながら生きている
時間の中を
この世の始まりも終わりも知らぬまま
この世の始まりと終わりの真ん中で