大山椒魚

清流に身を潜め
世界の穢れを知らぬまま
数万年も姿を変えず
生涯を終えていく

君の前には水と緑と
地球が生み出した美しい露と雫ばかりで
君は本当の世界を知らない

君の周りには
光と風と静寂があるばかりで
君は時代のリズムや躍動を知らない

しかし
君は地球が自転する音を知っているだろう
君は降り注ぐ星の光の色を感じ分けているだろう

君は地球の耳であり
地球の瞳なのだから

流れに身を潜め
透明な水を見つめながら
君はじっと地球の鼓動を聞いているのだ
地球に寄り添うようにして


2011.5.16