少女よ

石畳の道を抜け
階段を駆け下りてきた少女よ
お前は海に沈む太陽に手を伸ばした
髪を括り、息を弾ませながら
風がお前の頬を撫で
光が15の肌を輝かせた
しかし、夕日を見て
お前は急に不安になったのだ

少女よ
海の向こうに何があるのか
お前は知りたがっている
少女よ
遥かな時の向こうに誰がいるのか
お前は知りたがっている

お前は
沈みゆく太陽に手を伸ばし
このひと時を止めようとしている

打ち水をした石の道が海の煌めきを映し
子供らの声が空にこだまする
夕凪が時を支配する

少女よ
お前のいく手に何があったとしても
お前は夕日との約束を果たすために
明日を生きるのだ
夕日の色が赤い理由を
お前は知っているはずだから

少女よ
お前が手を伸ばした今日の夕日を
お前は決して忘れてはならないのだ


作曲:瑞慶覧尚子  「あさきゆめみし」 2018