尊敬する作曲家&指揮者 相澤直人

ふと見上げた空に、吸い込まれてしまいそうになるこの美しい季節…「相澤直人 作品個展」 の開催おめでとうございます。
相澤直人という名前に新しい匂いをかぎ付けていた私が、東京に行った際に(私は京都に在住です)わざわざお時間をいただいて話をさせてもらったのが最初の出会いでした。そのときに相澤先生が熱心に教えてくださったのは、ベルギービールの美味しさについてでした。 おかげで日本酒と和菓子についての知識一辺倒であった私の人生は少し拡張しました。
そのゆとりというのか、はぐらかしというのか、苦労や不安を上手に料理する術を心得ておられ、人生の様々な要素をロジカルに分類しながら、創作物としての音楽とそれを捌いていく時の手法の中に還元されているのだと感じました。
ありがたいことに、時期を同じくして私がぽつりぽつりと作り出していた拙い「詩」から美しい曲を作ってくださいました。高難度のジャズからびっくり演歌まで、全てセンスフルな曲ばかりで、私としては感謝の気持ちしかありません。曲を見るたびに、自分自身では気づかなかった潜在的な意識を巧みに掬ってくださっていること、一筋縄ではいかない小さな滲みや苦味を作ることで忘れがたい印象を刻印されていること、それぞれに考え抜かれた裏づけが潜んでいるであろうこと・・・、を感じます。また指揮者としては、私の企画する学生対象イベント等でもお世話になりましたが、非常に効果的で研ぎ澄まされたメソッドをお持ちであり、言語の選択と手順の選択に刺激を受けた経験が何度もあります。相澤直人ともに時代を歩めますことは私の喜びでもあり、楽しみでもあります。指導者として、芸術家としてますます輝きが増していくことだと思いますが、どうぞまた他愛のない会話でも盛り上がりたいものです。いつか京都で飲みましょう。

P.s
本日の演奏会で、私の作詩をテキストにした曲が歌われることを大変嬉しく思っています。 生憎客席には伺えませんが、この秋空の向こうからそっと耳を澄ませてみたいと思います。

2015.9.21