風が

風が
私を追い越していく
午後の若葉を梳きながら

雲が
風を追い越していく
空の口笛吹きながら

思い出が
雲を追い越していく
夢のパラソルを広げながら

季節が
思い出を追い越していく
にがい花びらを散らしながら

私は木蔭に倒れたまま
耳を澄まして
聴いていた

季節の音を

何かが何かを追いかけ
何かが何かを追い越していく季節の音を

いまという時をかみ締めるようにして


2012.5.29
作曲:石若 雅弥  若葉のうた 2012