春風の歌

たくさん悩み
たくさん願い
たくさん泣いて
たくさん祈った
ようやく私の中の雪がとける
長かった季節が終り
ようやく水が流れる

言葉が生まれる
木の芽のように
気持ちが生まれる
心の大地から

ほら、春の匂いがするよ
まだ風は冷たいけれど
季節は巡っている
世界は回っている
雲は夜明けの方向へ流れているよ
何もかも元通り
再び始まろうとしているよ

私は見る
見上げる
あの空を
未来に向かって広がっている透明な空を
私は
耳をすます
土の音に
木の音に
私を呼ぶ声に

私は手を伸ばす
冷たい風に向かって
この手で何か掴むため
私は立ち上がる
この足で
ぬかるんだ道を歩いていくために

誰かが歌を歌っている
誰かが口笛吹いている
誰かが私を待っている

そう、世界が動いている
何かがもう始まっているのだ

どんな時でも必ず春はやってくる
どんな胸にも必ず春風吹いてくる
小さな微笑みつれて
新しい日差しとともに



下線部分は作曲されていない
2015.3
作曲:田中達也  2015