さびしい魚のおはなし

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長い時間とたくさんの眠りのあと
初めて仲間と思える魚に出会った
そもそもこれまで仲間と思える魚には出会わなかった
広い広い海なのに、魚はそんなにいないのか
不思議なことだと思っていた時、ブルーの瞳をした可愛い女の子を見つけた
最初から友達と思えた

さびしい魚は
少し見つめた
そして少し一緒に泳いでみた
「どこからきたの?」
と聞いてみた
ブルーの瞳の魚は無言のままだったが、自分の問いかけを受け入れているような気がした
自分といることが嫌ではないような気がした
さびしい魚はしばらくそのブルーの瞳の魚と過ごした
そして、少し好きになりかけていた
ブルーの瞳の魚はとても美しく優雅でチャーミングだったから

その時大波が来た
空は曇天から嵐に変わった

さびしい魚はブルーの瞳の友達とはぐれてしまった
好きになりかけていたのに
いや、好きだったのに
いや、かけがえのない存在だったのに

ずっと彼女のことを探した
長い時間をかけて

またどこかの海で出会えるのか
どこにも見つからなかった
この出会いは喜びだったのか試練だったのか…


魚は、初めて「さびしい」ということについて考えた