かえる、雨上がり

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雨には薄い色がついているように思えた
雨には微かに音楽が宿っているような気がした
雨の中
蛙は蓮の上で池の波紋を見ていた
蓮の蕾が動いているのが分かった
世界には動くものと動かないものがあるのではない
見えるものと見えないものがあるだけだ
蛙は自分の持論について強く確信をもった
全ては動く、流れる、変わる
速さには差があるとして
それは我々が時の中を生きているから

やがて雨は一番激しい瞬間を越え徐々に弱まっていく
目を開くと
蓮の花が開こうとしていた
雨が上ろうとする
何かが起こる

東の空を見た
虹が掛かろうとしていた