少年

少年は駆けた
弾んで行くボールのために
夕方の空き地で蹴ったボールを追って

タンポポの咲く野原を
川べりの土手を
どこまでも全速力で走った

少年が追うものはやがて
ボールではなくなっていた

少年は太陽を追った
日が沈む場所を突き止め
西の果てを目指していたのだ

急がねばならない
交わした約束のためにも
熱い友情のためにも

少年は走った
全速力で


2010.12.1