野いちご

野いちご摘んだあの春に
私は何かを忘れてきた

野いちご摘んだあの森に
私は二度と戻れない
時計の針を逆さに巻いたような
あの暗い風が立ち込める
深い深い森の奥

木漏れ日に
野いちごだけが輝いていた

鮮血のように迸る赤さでz
あるいは
森のせせらぎのように


2011.5.16