コーヒー物語(うぃろう版)

父 ねえ、コーヒー飲まない?
娘 いらない
母 私もいい
母 私が淹れることになってるのだったら、私は嫌ー
娘 私も嫌ー
父 そんなこと言っとらん。人生にはいっぷくも必要だぞ。
母 またそんなこと言って。私は今忙しいの
娘 私も忙しいの
父 二人とも漫画読んでるか、雑誌読んでるだけじゃないか
母・娘 なにが悪いの?
父 いや、新しい豆を買ったから…
娘 ふうん、何が違うの
母 コーヒー豆っていうけど、コーヒーって豆なの?
娘 豆ならのアーモンドのほうが好き
母 私は塩豆大福食べたい
父 なにを馬鹿なことを。コーヒーの実だよ、でも本当は赤いんだよ
娘 へえ、知らなかった?

皆さんはコーヒー豆のことを知っていますか?
コーヒーノキは、ジャスミンのようなほのかな香りのする白い花をつけます。花は春先に一斉に咲くのですが2~3日で枯れてしまようようです。 受粉からは数ヶ月で実がつき始め、最初は緑だった実は熟して真っ赤になります。 見た目がサクランボに似ていることからコーヒーチェリーと呼ばれているのですよ。

1.コーヒーの木

黄色い翼の鳥が来て
コーヒーの木にとまったよ
そして歌を歌ったとさ
甘くて優しい故郷の歌を
やがて鳥は
花を咥えて飛び立った
可憐で小さな白い花
でも、一声鳴いたものだから
花は乙女の肩の上
ジャスミンのような香り立て
恋の予感が 広がっていったとさ
不思議な恋の物語

青い翼の鳥が来て
コーヒーの木に止まったよ
そして歌を歌ったとさ
透き通るようなきれいな声で
やがて鳥は
実を咥えて飛び立った
チェリーのような赤い実を
でも、一声鳴いたものだから
赤い実落ちて森の中
やわらかい土に抱(いだ)かれて
新しい芽が 顔をだしたんだとさ
明るい希望の物語

娘 結局、パパ自分で淹れてるね
母 良いのよ、こだわり屋さんだから
娘 ああ、言うタイミング失った、結婚のこと
母 分かってるんじゃない?
娘 私、わざと結婚雑誌読んでたんだけど
母 それは気づいてないわ
娘 つい喧嘩腰になっちゃうんだよね
母 母さんは気に入ってるわよ、彼のこと、父さんより100倍良いわね
娘 でしょ?パパも気に入ると良いな
母 コーヒー好きならね
娘 そんなことが基準?…普通かな、まあ貿易関係の仕事だから世界の話題は豊富だけど。
母 そう、父さんも気に入るわ。自称冒険好きでもあるから
娘 結婚したらしばらくはヨーロッパなの
母 まあ!
娘 で、新婚旅行はアフリカに行くの
母 コーヒー豆買って来てあげて
娘 コーヒーの産地ってどこ?

コーヒーはコーヒーベルトと呼ばれる赤道を中心とした数十か国で生産されており、農園では木の栽培と果実の収穫が行われています。
「コーヒー」はアラビア語でコーヒーを意味するカフワが訛ったものであるとか、エチオピアにあったコーヒーの産地カッファがアラビア語に取り入れられたものともいわれています。 この言葉が、英語では: coffee…と呼ばれるものになったようですね。

2.コーヒー豆は世界を旅する

Bun ga wan don
Bun ga wan don
むかしコロンビアの青年が
コーヒー豆を箱に詰め
港の船に持ち込んだ
船はカリブ海を横切って
大西洋を横断し
やがてジェノバの港についたのさ

今じゃ世界中の街角でコーヒーが飲まれてる
ヘルシンキの学生も
アンダルシアのご夫婦も
コーヒー飲んで語ってる
コーヒー豆は世界を回る
世界はいつも甘い香りに満ちている
コーヒーが世界をゆったりほぐしているんだよ

Bun ga wan don
Bun ga wan don
むかしタンザニアのおじさんが
コーヒーの木を栽培し
熟れた木の実を摘み取った
木の実はインド洋を横切って
太平洋を横断し
やがてロスアンジェルスについたのさ

今じゃ世界中の食卓でコーヒーが飲まれてる
ニューヨークの花屋さん
シンガポールのビジネスマン
みんなコーヒー飲んで語ってる
コーヒー豆は地球を回る
地球はいつも甘い香りに溢れてる
カップ一杯のコーヒーが
地球をゆっくり和ませているんだよ

父 コーヒー淹れたよ、まあ飲んでみろ
娘 ありがとう
父 良い香りがするぞ
娘 実はね
父 なんだ
娘 いや、、、あ、そうそう、ミルク入れなきゃ
父 おいおい、コーヒーはブラックに決まってるだろうが、ミルクなんざ邪道だな
娘 パパ頑固なんだから。そんなの思い込みよ。
父 甘えちゃならん!!!
娘 いーえ!砂糖やミルクがコーヒーの味を引き出すことだってあります!
父 何言ってるかな、ブラーック!
娘 どうやって飲むかは自由でしょ。決めつけは良くない!
母 いい加減にしなさい!

(コーヒーを愛する気持ちがあれば、いろんな飲み方を楽しもう)
まあまあ大変。でも、もちろん、カフェオレもありますし、ミルクを入れても砂糖を入れてもおいしいですよね。地域的にも様々な飲まれ方をしているようですよ。適度なフレーバーを混ぜる飲み方もありますよね。時にはそのままストレートで本来の味わいを楽しみ、時にはコーヒーの風味を引き立てるミルクや甘味を加えて違った魅力を味わってみましょう。もちろんコーヒーを愛する気持ちで。何事もお好みで。

3.あなたが愛してくれるなら

ありのままの君が好きだよって
あなたが言ってくれたので
私は何も飾らない

あなたが愛してくれるなら
私は何も飾らずに
瞳を閉じて待っている
時間(とき)がゆっくり熟していくのを
本当の私がゆっくり解放されていくのを

白いリボンが似合うよねって
あなたが言ってくれたので
今日の私は白いリボンの髪飾り

あなたが愛してくれるなら
私は白いリボンを飾り
風に靡かせ歌ってる
光に輝くメロディーを
そよ風とのデュエットで

どちらの私も本当の私
私はいつも何かを探しながら
だんだん私になっていく
あなたに愛されながら
あなたの胸の中で
私は私になっていく

母 あの子、彼と結婚の話が出てるそうよ
父 大丈夫かねえ、あいつ辛抱が足りんから
母 辛抱が前提?
父 結婚には、我慢というものが必要なんじゃないか。100%の男なんておらんからなあ、わしの他はな、ははは
母 つまらない冗談言わないで、私だって我慢もいっぱいしてきましたよ。
父 まあ、コーヒーでも飲め飲め、新しい豆だ、フルーツの香りがするぞ
母 要りませんよ
父 いやあ、コーヒーのように手間暇かけて家庭は築くものだなぁ
母 また分かったようなことをおっしゃって
父 いや、時間をかけて…焙煎をし、いやお前から良いように言ってやってくれ
母 つまらない例え話、絶対に、披露宴でもしないでくださいね

皆さんはコーヒーの作り方を知っていますか。
まず、収穫された果実からコーヒー豆を取り出す作業が必要です。取り出された豆が焙煎されて、初めてコーヒーの香りと味が生み出されます。
次に焙煎豆を粉状に細かく挽きます。そうやって出来た粉からお湯や水を通して成分が抽出され、ようやく我々が口にする飲み物としてのコーヒーになるのです。つまり、一杯のコーヒーが出来るまでにはたくさんの工程と手間がかけられ、それぞれの場面には細かいこだわりが存在しているのですよ。

(結婚の話、娘の子供時代)

娘 父さん、私結婚するよ
父 お前が小さかったときなあ
娘 ねえ、聞いてる?
父 父さんと結婚したいと言ったものだ
娘 ねえ、ちゃんと聞いてよ
父 膝の上に乗っかって、可愛かったものだ
娘 私会ってもらいたい人がいるの
父 私の誕生日には私の似顔絵を描いてプレゼントしてくれたものだ、達磨のようだった
娘 ねえ、
父 そいつ、コーヒー好きか?
娘 ええ、まあ
父 なら、会ってやってもいいぞ、コーヒー飲みながらな

4.コーヒーは大人の飲み物

コーヒー頼むのは父さん
私はいつもクリームソーダ
湯気も香りも好きだけど
苦いコーヒーは
大人の飲み物だと思っていた

気が付けば
私もすっかり大人になって
待ち合わせには
コーヒーを飲んで待っている
窓際のテーブルでカフェラッテ

そうね
コーヒーでも飲もうか、父さん
昔行った街角のカフェで
聞いてもらいたい話も切り出せそうね

コーヒー頼むのは母さん
私はときどきレモンスカッシュ
コーヒーゼリーは好きだけど
苦いコーヒーは
大人になってからと思っていた

気が付けば
私もすっかり大人になって
一人の夜更けに
コーヒーを淹れて夢心地
シナモンのフレーバー香らせて

そうね
コーヒーでも飲もうか母さん
静かな夜のテーブルで
つもる話も出来そうね

娘 彼と会ってみてどうだった?
父 まあまあだな、わしのほうがいい男だが、その次くらいかな
娘 結婚するよ
父 どうぞご自由に、お前の人生だから
母 まあ、照れちゃって、良い方よ
父 まあ、そうとも言う、仲良くな
娘 しばらく仕事の関係で私たちドイツのベルリンに行くの、少し寂しくなるかしら
父 わしはコーヒーを飲んで人生を噛みしめる
母 少し寂しくなるわね
娘 ときどき帰ってくるから
父 帰って来なくていいぞ、でも時々コーヒーを飲みながら互いを思い出そう
娘 そうね、人生にはいっぷくが必要って、パパいつも言ってるよね。
父 そうとも、喜びや想い出を味わい、分かち合う瞬間がね
母 あら、雪がちらついてきたわね、出かけるのはよして、ゆっくりしましょう
父 じゃあ豆を挽くとしようか、我が家のスペシャルブレンドをね
娘 この時間、大切にするわ

5.a cup of coffee

雪が降った夜明けに
淹れたてのコーヒーが飲みたくて
古い都会の街角にやってきた
誰も居ないテラスに立って
僕はマフラーを固く巻き
湯気に顔を寄せている

いつだったろう
君は天使を見たと言ったよね
こんな夜明けに

窓ガラスに映る自分の顔を見た
随分時は過ぎたけど
想い出はいつも昨日のように鮮やかだ
君の前にはきっと遥かな道が続いているのだろう
僕も歩きだすよ
でも、少しだけ
ここで温まってからね

雨上がりの夜明けに 
淹れたてのコーヒーの香りを求めて 
古い都会の街角にやってきた
濡れた石畳を歩いて 
僕はコートの襟を立て 
香りに思いを馳せている

天使の姿は見えないけれど 
誰かの心の中に紛れている 
君はよくそう言った

僕は朝焼けの空を見た 
君の見上げる空は晴れているだろうか
君は何をしているのだろう

僕も歩き始めるよ
でも、もうしばらく
ここで温まってからね
冷えた身体がもう少し回復するまで
一杯の熱いコーヒーを飲みながら




作曲:相澤直人   2023