かなしみが流れている

かなしみがながれている
川のように流れている
枯れることなく
とめどもなく

魚が泳いでいる
魚が
背びれで悲しみを引き裂きながら
尾びれで傷を癒しながら

瞳が光る
雨上がりの石のように
したたる雫のように

やがて渦巻く
潮のように
竜巻のように
宇宙のように
悲しみは渦巻く

魚は星となり
渦巻きの彼方にきえていく

かなしみはふたたび流れる
川のように
枯れることもなく
とめどもなく

私が流されている
髪を藻のよう揺らしながら
手のひらを魚のよう漂わせながら
全身を流れに晒しながら

私はきらきらする水面を見上げている
悲しみの水面を


2015.9
作曲:相澤直人 若葉よ、お前は 2015.9