かえる、雨上がり

3


蛙は一匹であった
蛙は他の仲間のことを知らなかった
そもそも蛙は群れなすものであるのかどうかも知らなかった
何よりそんなことは、今日何を食べるかと同じくらい重要ではなかった
蓮の葉において自分は何かを待っているのだ
それを想像するのが楽しみであり
自らのMissionであるようにも思えた
それに、その構図だけで、十分「絵になる」ということを蛙は美意識のうちに知っていた

一匹の蛙が蓮の葉の上に座っているのだ
煙草をくゆらせながら
欠伸をしながら
胡坐をかいて
書を嗜みながら
草笛を奏でながら

美しい構図である