1.プロローグ
響け
こだまよ
風の中で
雨の中で
日差しの中で
これはある山でのお話です。私たちが知っているようで知らない、知らないようで知っているお話、ありそうでなさそうな、なさそうでありそうな、そんなお話です。山には多くのニホンザルが三つのグループに分かれて暮らしていました。
最大の勢力である「一の谷グループ」、年輩のボスが仕切る「北尾根グループ」、食べ物がふんだんにある縄張りを持つ「南の谷グループ」…。三つのグループはそれぞれ対立していました。そう、信じるものが違うとでもいうのでしょうか、どこかで聞いたようなお話ですよね。
コダマはやんちゃで跳ねっ返りの青年でしたが、知性や体力、志、全ての能力の高さから、最年少で一の谷グループのボスザルに就任しました。それがあまりに簡単だったためか、自己の能力に自惚れを持っていたからか、弱い者たちを守るというリーダーとしての職務にあまり価値を見いだせず、自分の能力はもっと高いのではないか、とか、本当に目指すべきものや使命は別にあるのではないか、というようなことについて、思いを巡らせていたのです。
コダマはその意味で、誰よりも苦悩を抱え、現状を疑い、高みを求めるゆえの孤独を噛みしめるボスザルでした。
人間のようで人間でないけど、サルのようでサルでないボスザルだったかもしれません。
2.孤独
どこから来たのか
俺は
何を待つのか
俺は
訊きたかったのはこのことだ
どこへ行くのか
俺は
何を望むのか
俺は
知りたかったのはこのことだ
答えてくれ
この世の目的とは何なのか
名声とは何か
自由とは何か
銀貨を握り締めた青年が
黒い川にそれを捨て去った時の虚無について
命に纏わる呪いについて
自由の代償として与えられる深い孤独の闇について
答えてくれ
生きることの無意味さよ
偽善よ
俺は知っている
俺の血を
俺は分かっている
俺の運命を
孤独を耐えることを
そして
お前はその試練を俺に与えているのだということを
コダマはある日出会った北尾根グループのメスザルと恋仲になります。これは一の谷グループのボスザルとしてはあるまじき行動です。自分の能力からすると他者(ひと)のことや群れのことが馬鹿バカしく思え、目の前にあるグループリーダーとしての仕事がつまらなくなってきていたこともあったのでしょう。孤独感や心の暗闇を語ることで自分自身が落ち着き、物足りなく思っていた心の底の穴ぼこをこの愛が埋めてくれるように思ったのです。
3.愛
夕べの夢を覚えているか?
俺は一人で波を見ていた
海を行く船を追いかけていた
山のてっぺんの木の上から
旅に出る夢だ
小さな世界から逃れ
見たこともない風景を探しに行く夢だ
お前はそんな俺を見ていた
波のように
ものも言わず
俺の孤独を眺めていた
愛というものがあるなら
それは恐らく木々の枝葉から漏れる光のように
揺らめきながら持続するものだろう
隙間から見守るものだろう
愛は気づかぬうちに押し寄せる
言葉なく
まなざしのように
陽のように
波のように
愛が
風に乗って
頬を震わせる
お前の波が押し寄せる
風に乗って
夢のように
一の谷グループのボスが、グループの縄張りから離れ、他のグループのメスといい関係になる…、というスキャンダルに一番腹を立てたのは、実は他ならぬ一の谷グループのメスザルたちでした。「どうして私たちがいながら北尾根グループなんかにいかないといけないの?」
それに同調するのは、血気盛んな若いサルたち。メスザルたちは腹いせに若いサルたちを煽るのです。
4.メスザルたち
[メスザルたち]
どうしてなの?
どうしてなの?
この木にはこんなに花が咲いているのに
どうして別の木に飛び移るの?
この山にはこんなに木の実があるのに
どうして他の山に行くの?
鳥ならここを去るがいい
風ならどこでも吹くがいい
でもあなたの態度は
許せない!
許せない!
[若いサルたち]
そろそろ俺らの時代が来る
でも待っているだけでは順番は回ってこない
古い政治なんてまっぴらさ
何だって言いなりになるのはもうごめん
俺らにも言わせろ
新しい時代の担い手に
一の谷グループのサルたちは、北尾根グループのメスに入れ込んで自らのグループを顧みないコダマを追い出すことにしました。何より、プライドを傷つけられて、怒りに満ちた強烈なメスザルたちが、若いサルたちをけしかけます。また、コダマに追いやられた年寄ザルたちも本来なら自分がボスになるはずだったとばかりに、コダマに対する恨みを思い出し協力します。
手を取り、作戦を立て、コダマが北尾根から戻ってくる頃合いを見計らい、罠をしかけて谷に突き落としたのです。
不意打ちを食らったコダマは大きな怪我を負い、強烈な包囲網によって群れから追い払われてしまいました。コダマは身から出たサビとはいえ、痛みにも増す深い絶望に襲われました。半ば予測ができ、なるべくしてなった転落とは言え、強がりと裏腹に、痛恨の思いを抱きながら自分のことについて考えていました。
5.絶望
俺は孤独に慣れている
絶望は勇気を持って生きることの特権
俺は挫折に慣れている
失意は夢を持って生きるものの特権
油断や緩みが何だというのか
よくあることさ
生きる者の性として
胸の奥のマグマに耐えきれず
逃れ去ってしまったのさ
吊り橋はいつもぐらついている
ふざけた俺はうっかり踏み外し谷底へ
仕方がないさ
なぜならそれが
俺に与えられた運命であり
俺が受ける罰なのだから
暗き渓谷 死の淵
血だらけになりながら突き落とされた俺よ
愛が孤独を救うのではなく
愛には麻薬のような罠がある
俺は分かっていたはずだった
だから 俺は望んでいたはずだった
血だらけになって目覚めることを
木よ 風よ
大いなる宇宙の意志よ
俺は負けはしない
俺は絶望という強度を生きる
「風よ吹け コダマよ響け 自ら考えよ
自由とは何か 自分とは何か
自分と他者を分けるものについて
想像せよ」
コダマは傷を負い、グループを追われることになりました。グループを追われたボスザルにはどんなメスも靡きません。コダマは群れとメスザルと両方を一気に失うことになりました。
群れを追われたコダマは別のグループでも扱いにくく、本来ならば「はぐれザル」になって、そのまま一生を終えることになるところでしょう。この傷ならば長く生きられなかったかもしれません。ただ、北尾根グループの年輩ボスザルはしたたかでした。いずれ来る南の谷グループとの抗争をにらみ、コダマの実力を北尾根グループのために使おうと考えました。
そういうわけで、コダマは年輩ボスの配慮によって北尾根グループの最下層、末席に加わることを許されました。そして、このグループの仲間の献身によって傷を癒すことが出来、食料にもありつくことが出来たのでした。
6.ヴォカリーズ
風よ吹け
コダマよ響け
澄み渡れ
孤独がお前の魂を磨く
絶望がお前の心を鍛える
しかし自ら考えよ
お前は何故存在しているのか
お前が他者に何を出来るのか
お前に差し伸べられた手を見よ
風が吹くと木の実が落ちる
木の実が落ちると命が宿る
雨が降ると山が育つ
全ては繋がりながら廻っている
孤独と絶望は、自分の価値や役割について漠然とした疑問を持っていたコダマにある種の明瞭な意思を育みます。また聞こえてくる風の音や周囲の献身が、彼の考え方を大きく変えていきます。コダマは考えるのです。自分の存在、他者との関わり、全体として関連を持ちながら動いている宇宙や星空について。
グループ全体による自身の再生を経験したコダマは、傷が癒えるとともに、その振る舞いや強さ、判断の良さから、グループの中での順位を徐々に上げ始めます。周囲からの尊敬も得始めてきます。
そして、北尾根グループの年輩ボスザルの読み通り、気候が悪く食べ物の実りが悪くなった年の秋、南の谷グループとの抗争が起こりました。戦いの指揮をまかされていたコダマが活躍するチャンスが巡ってきたのです。
北尾根グループはもともと食べ物の少ない地域でしたので、夏場の気温の低さから、秋の実りの少なさを予測し、貯蓄をする等の判断をしていました。それに対し南の谷グループは、比較的食べ物に恵まれた地域を縄張りとしていたために、自然に対する感謝の足りないグループとされていました。少しの食べ物の減少により、我慢が出来なくなった南の谷グループは、北尾根グループからの強引な略奪を試みるのです。
戦いが始まります。
7.戦い
[北尾根グループ]
ある
怒りがある
苦悩がある
悲しみがある
胸の中には
何でもある
ポケットの中に拳がある
大地には踏み付けた足跡がある
木には傷つけた跡がある
打ち鳴らせ
内なるリズム
沸き起これ
内なる命
心臓の太鼓を連打せよ
憎しみも
苦悩も
ぶちまけろ
黒い血と
裸のリズム
命をかけて叫べ
声がかれるまで叫べ
谷間にこだませよ
ある
森には何でもある
土も空気も水も木も
山には何でもある
祈りも眠りもある
噛み付け
引き裂け
血を流せ
威嚇せよ
本能の限り
屈辱をエネルギーに変えよ
打ち鳴らせ
太鼓を
命を掛けよ
命ある限り
海には波があり、船が行く
空には風があり、雲が行く
息にはリズムがある
命には鼓動がある
[南の谷グループ]
ない
山にはすっかり何もない
木は何も実らない
誰も家には帰らない
海には陸がない
空には海がない
森には目のない梟が眠る
月は灰色の雲に隠れ
もう長い間空には何もない
ない
森には音がない
楽器がない
歌う王女はいない
池のほとりに
ラッパ水仙は咲かない
物語など何もない
歴史を木が見ているだけだ
あれではない
これではない
それでもない
何もかも足りない
届かない
満たされない
何もかもすっかりない
[静寂]
山よ森よ
朝霧の中に隠された呪文が蘇るとき
再び季節は巡り
悲しみと喜びとの年輪を刻む
夜露に忍ばせた歌声が永遠の謎を解きほぐすように
絡まった蔓をほどいていく
風よ、雨よ、日差しよ
深い祈りを持つものを守れ
雲よ、土よ、木の葉よ
深い思いを巡らせよ
静脈から動脈へ
戯れの吐息から宇宙を回転させるエネルギーへと
[戦闘]
あるのにない
ないのにある
存在はあるのに意味はない
地位
名誉
政治家
肩書き
プライド
ゴシップ
意味はないのにそこにある
太陽
月
星
風
愛
命
命あるものは歌え
命あるものは叫べ
命あるものは震えろ
命あるものは見上げよ
勝利は我らに
コダマせよ
響け
この宇宙に
空に一番近い木の上を見上げよ
自由に手を伸ばすものを見よ
魂をかけた者の吐く息を見よ
夢に一番近い者よ!
コダマの活躍により、北尾根グループの完璧な勝利でした。
作戦に走るのではなく、全体を鼓舞し気迫から引き寄せた勝利でした。
年輩のボスザルの引退時期でもあり、コダマは北尾根と南の谷を統括するリーダーとなりました。
8.ヴォカリーズ
夢を見よ
他者のために生きよ
お前の力を
他者のために生かせ
コダマによる二つのグループの平定は一の谷グループにとってものすごく大きな出来事でした。信じていたものが違うかの如く対立と緊張関係を続けていた二つのグループが、コダマの強烈なリーダーシップによって融合をし始めたのですから。
一方で一の谷グループでは、コダマなきあと女たちのおしゃべりを静められるものがおらず、年寄ザルたちの権力闘争と、とってかわったはずの若いサルたちの経験不足、力不足に悩んでいました。全体の中から批判をするのと、全体の前に立って導くことは全く別のことなのですよね。
年寄りザルたちは囲い込みの政治と昔話ばかりし、若者ザルたちは口だけの議論を繰り返すばかり。メスザルたちはこんなはずではなかったと嘆いています
そして、コダマ待望論が起こるのです。
9.なっとらん
[年寄]
なっとらんなっとらん
わしらの時はこうだった
あのときにはこうだった
このときにはこうだった
若造たちが何を言う
あれもちがうこれもちがう
あいつの言うことなど信じるな
わしに付いてくるなら木の実をやろう
[若造]
年寄りたちは黙ってろ
悔しかったら跳ねてみろ
まだまだ不慣れなだけなのさ
僕らは僕らを信じてる
僕らは新しい時代の担い手さ
煩く言われるのはもう嫌だ
僕らは僕らのやり方がある
僕らは僕らでやりたいんだ
[メスザルたち]
悪いけど誰も無理
必要なのは耳を傾け、明日を語れる人
批評家なんか一人もいらない
言い訳や文句ももううんざり
私たちは何か実現する人を待っている
前に立つと言葉もない
言ったことは忘れている
そんな人はもういらない
目の前のことを背負える人
力いっぱい生きる人
私たちはあなたに帰ってきてほしい
山にも森にも名を轟かす
私たちの不動のリーダー
ボスザルのコダマ
リーダーのコダマ
ボスザルのコダマ
リーダーのコダマ
リーダーのコダマ
我らのリーダーコダマ
対立を融和へ
過去を明日へ
小さなものを大きなものへ
信じるものを認め合い
争いを越えて山を一つに
我らのリーダーコダマ
その名を轟かせよ
この大空に
ビッグボス コダマの誕生です。
一の谷グループでは、メスザルたちを制御出来なかったことによって、すでに崩壊し始めていましたが、二つのグループからの睨みに屈して、言わば無血開城してしまいます。追い出しの張本人であったメスザルたちに望まれ、コダマは三つのグループを統括するビッグボスとなりました。お互いに争うか、むしろ争いを避けてお互いに近寄らないことをルールにしていたこれらのグループの統合は、歴史上画期的なことでした。
自分の能力を持て余していた若きボス時代とは違って、コダマは今何をなすべきか、明確に自分の中に意志を持っていました。
10.この世をつかさどるもの
宇宙をつかさどる意志よ
銀板の星空よ
お前には起源があるのか
月よ
お前は輝き続けて飽きないか
姿を変えながら
いつまで輝き続けるのか
教えてくれ
俺のことを
俺がなすべきことの全てを
俺が恐らく求めている自由を
その名の正体を
この世をつかさどるものよ
風に聞いたさ
身体の中を通り抜ける気持ちを
誰かと誰かの境目
そこを行き来することを
雨に聞いたさ
命を混ぜていく方法を
大地に降り注ぎ
根から葉へと循環する仕組みを
日差しに聞いたさ
懸命に背中を撫でることを
照らし、見守るということの意味を
自由とは何か
俺はどう生きるのか
この世をつかさどるものよ
俺は俺の手で掴み取る
グループを統合し、最大のボスになったコダマは、あらゆる責務を持つ、という力強い姿勢を打ち出し、群れの融和をはかります。また、新しい時代に相応しく個人の自由が最大に保障される新たな組織作りを目指します。自由というのは好き勝手ということではありません。何かを強制されるのではなく、自分と向き合い、自分らしさを発揮出来るということです。そうすることで、必ず個人は組織に貢献するということをコダマは理解していました。
ある種の長老組が多く搾取していた食べ物についても、積極的に幼い者、身体の弱いものに回すようにしました。そうするとメスザルたちからの信頼が倍増します。所詮オスは束になったメスにはかないません。各人の主張も聞き入れ、あらくれものやはぐれものについても出来るだけ自由にさせた上で、押えるべき肝心なところだけを押えました。この自然界の中を一人で生きていけるわけなどないのだから、そのことに気付きさえすれば良いと思っていました。自ら悩み、道を外し、絶望を経験したことによって、コダマは懐の深さを兼ね備え、絶対的な信頼のある最大のボスとしての風格を付けてきたのでした。
11.昔から星を
◎コダマ)
俺は昔から星を眺めていた
生まれる前は天文学者だったのかも知れない
空が青い
星が回る
俺たちの敵はほかの群れではない
他者(たにん)ではない
俺たちはこの宇宙とともに生きてきた
大雪のとき
山火事のあと
水不足のとき
群れなす意味と価値が今は俺にも分かっている
◎精霊)
風の音を聞くがいい
雨の音を聞くがいい
日差しは等しく降り注ぐ
お前はともに生きている
宇宙とともに
三つのグループを平定したコダマはボスの中のボスとして、大きな信頼を得て、群れを纏めていきました。コダマはボスとして生きることが多くの仲間を生かすことであることを悟り、自分自身の人生の役割を感じます。大きくなった群れはコダマを信じ、かつてのグループの個性を組み合わせながら、徐々に新たな秩序を築き上げていきました。
それでもどうしても統率のとれないものがあります。乱暴者の若いサルが群れの掟を破って行動したために、いさかいを起こし、谷底に落ちて命を落とすことがありました。そんなとき、コダマは無言で、一番高い木のてっぺんに立って不動の姿勢を取るのです。怒りとも悲しみとも取れる不動のボスのポーズを。
それは、与えられた命を互いに大切に生きること、他者を尊敬し、自分は自分で一生懸命に自分らしく生きよ、というメッセージを発信しているようにも思えました。
やがて時が巡り
コダマにも晩年がやってきました。
誰しもが、コダマには永遠にボスであって欲しいと願い、きっとコダマなら可能なのだろうと思い始めていた頃のことです。コダマが突然失踪するという事件がありました。通常、失踪が一か月に及ぶと、それは死を意味します。しかし、コダマは2週間で戻ってきました。また通常、失踪したボスザルが再びボスの地位に就くことはありません。しかし、サルたちは一定の秩序で不在時を乗り越え、帰ってきたコダマを受け入れました。これはコダマが、自分が亡きあとに、誰がボスになっても全体が一定の秩序で群れを運営していくことを期待するメッセージとして発したのだと思われています。
12.失踪
夢を探しに
散歩に出たら
そこにぽっかり穴が空いていたのさ
アスファルトじゃない
] 土でもない
生まれたての雲が寝息を立てていた
俺は
小さいときを思い出して
そこで休んでみたのさ
シロツメグサ毟りながら
躑躅に絡む草で笛を作りながら
花の蜜吸いながら
そのうちに何を探していたのかすら忘れ
俺は雲に起こされた
何ごともなかったかのように夢から覚めたのさ
おお、お前よ
お前に言っておこう
人生がそのようなものだと
短すぎず
長すぎず
楽しすぎず
哀しすぎず
ちょうど良いものだと
泣いたこともあったさ
歯を食いしばったこともあったさ
俺は
何かを探していたんだぜ
夢のようなものをさ
今は穏やかな気持ちさ
冬の寒さも
春の疼きも
やがて五月の花が咲く
やがて五月の花が咲く
雨の寒さも
日差しの強さも
やがて秋の実が実る
やがて秋の実が実る
今日も風に声がこだまする
こだまする
コダマは再び失踪し、今度は帰ってきませんでした。
コダマの話しはおしまいです。人の話しなのかサルの話しなのか、私たちの話しなのか、あなたの話しなのか、遠い昔の出来事なのか、ついこのまえの出来事なのか、よく分からないですね。特殊な物語なのでしょうか、それとも一般的なお話なのでしょうか。ここで語られたのは、ある物語の一端に過ぎません。枝葉の広がりも、たくさんのエピソードも、この物語の続きも、全てはあなたの胸の中に託し、そろそろ終わることにいたしましょう。
風にコダマする音楽で幕を閉じさせていただきます。
13.ヴォカリーズ
命よ震えろ
命よ蘇れ
命よ響け、コダマせよ
この山に
この宇宙に
この胸に
風よ吹け
雨よ降れ
日差しよ照らせ
響け
こだまよ
2014.12
作曲:高嶋みどり 2015