さびしい魚のおはなし

14


さびしい魚は目を閉じた

眠っているのか
もうすぐ死ぬのか
魚は夢を見ながらあぶくを吐いた

もう十分だと思った
自分はきっと普通の魚とは少し違うけれど天才でもなく、所詮さかなであることは分かっていた
でも一生懸命に頑張った
何を頑張ったのかは上手く説明できないにしても…

月明かりの中で、魚の鱗は銀色に輝いた
しかし、それは同時に波の背のようにも見えた
そして、木の葉のようにも見えた

さびしい魚は一粒の涙を流した
なみだは波に紛れた。。




おわり

2009.9.22
みなづきみのり