さびしい魚のおはなし

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海に夕日が沈む
魚はずっと夕日を見ていた
太陽の色が変わり、海の色が変わり、空の色が変わるのが分かった
なぜ色が変わるのか、
少なくとも太陽はずっと変わらないと思っていた
しかし、その太陽すら色が変わるということは、ずっと不変のものはないということか

大きな魚のことが思い浮かんだ
死骸は何かに変わったのか
急に不安が過ぎった
大きな魚は自分自身だったような気がしてきたのだ
そんなことはない
自分は逃げ切ったのだ
しかし、何だか混乱してきた
そしてその混乱は単調に繰り返される波のせいであるような気がしてきた