さびしがりやのサンタクロース

さびしがりやのサンタクロース

さびしがりやのサンタクロースは
クリスマスが来るのを待っている
指折り数えて待っている
子供たちの笑顔を思い浮かべながら
プレゼントを用意してるのさ

さびしがりやのサンタクロースは
クリスマスにはソリ走らせる
雪掻き分けてソリ走らせる
子供たちの寝顔を覗き込みながら
プレゼント置いて回るのさ

さびしがりやのサンタクロースは
クリスマスが終わると寂しそう
何だかちょっと寂しそう
子供たちの笑顔を思い出しながら
もとの寂しがりやに戻るのさ

皆さん こんばんは


皆さんのところにはサンタクロースが来ましたか?
サンタさんに会いたいと思いますか?
サンタさんはどんな暮らしをしているのでしょうねえ
いろんなサンタさんがいるのかもしれません
でもクリスマスが来てほしいと思っているのは、皆さんばかりだけではないようですよ
サンタさんもクリスマスは子供たちと会えることが嬉しくって張り切ってしまうようです
そうなんですね
皆さんもサンタさんに会いたいけれど
サンタさんも皆さんに会いたいんですね

今夜は
子供が大好きで
歌が大好きで
ちょっとおっちょこちょい
そして
ちょっと寂しがり屋のサンタさんを紹介しましょうね

クリスマスの大仕事を終えたあとのサンタさんを知っていますか?
サンタさんはクリスマスが終わったらずっと手紙を読んでいるのです。
世界中から集められたお礼の手紙を
子供たちから寄せられた手紙を
一人で読むのです

暖炉にあたりながら
薪を割りながら
パイプの煙をくゆらせながら

最近の悩みは目がかすむことです
そしてすっかり涙もろくなってしまったので、子供たちからのたどただしい文字をみたり一生懸命書いたイラストでも入っているとすぐに涙が溢れてくるのです

サンタさんの涙は暖炉で温まって風船のようになるのです
くゆらせたパイプの煙のわっかのように
涙は暖炉で温まり
いつも
風船のようにふくらんで部屋の中を飛んでいました

【手紙1】

サンタさんへ
サンタさんはどうして、僕の欲しかったものを知っていたのですか?
ロボットの最新モデルはカッコ良くって欲しかったのです
毎日遊んでいます
勉強もしていますよ

僕は絵が得意なので
僕の考えたロボットの絵を送ります
カッコいいでしょう
宇宙を飛ぶことも海をもぐることも出来ます。
いつか本物のロボットと一緒に宇宙基地に行きたいです

【手紙2】

サンタさんの住んでいる国は寒いの?
私の編んだ手袋を送ります
私にはサンタさんの手のサイズが分かりません
なので、大きくしてみました
大きいのなら入るでしょ?
でも大きすぎたら脱げてしまうかな?
落とさないように肩から掛けられるようにしたのですよ
そのアイデアはお母さんです

なぜならお母さんは私が手袋をなくしてしまったときに無くさない方法を考えたので
それをそのまま使いました
色は考えました
いつも赤い色ばかりでは退屈かと思って楽しい色にしてみました
使ってね
また来年も街に来てね

【手紙3】

サンタさんは世界中の子供たちにプレゼント配っているの?
さすがにそれは無理だよねえ
僕は大きな市にはその役場ごとに担当のサンタさんが2、3人いると思う
僕の住んでる街の担当のサンタさんに届くといいな
あ、僕の街はブラックベリーシティのイースト街

そうそう、今年はケーキ置いといたんだけど、食べていってくれたんだよね。
朝には無かったから。

美味しかった?
お母さんの手作りケーキだよ。
僕もたくさんお手伝いしたよ。

いろんなおうちでケーキ食べてるの?
うちのが美味しかったらいいな。
でも太るから食べすぎには気を付けてね。

【手紙4】

サンタさんとうちのお父さんは
声が似てるね。
クリスマスの夜に
寝たふりして少し声を聴いてたんだ

でも父さんのほうが若いよね
きっと
父さんの小さな頃にもサンタさんが来てくれたと言ってたから

プレゼントありがとう
元気で長生きしてね
サンタさん

サンタクロースに手紙を書こう

サンタクロースに
手紙を書こう
気持ちを込めて
手紙を書こう

始めのあいさつ
何だっけ
こんにちは
いつもありがとう
大好きだよ

当たり前のことでも言葉にするって素敵だな
文字にすると伝わるよ
少し恥ずかしくて
どきどきするけど
サンタさんには伝えられるでしょう
気持ちを込めて
しっかり手紙を書いてみよう


サンタクロースに
手紙を書こう
気持ちを込めて
手紙を書こう

終わりのあいさつ
何だっけ
じゃあまたね
心を込めて
元気でね

分かっていても言葉にするって素敵だな
文字にすると伝わるよ
気持ちが膨らんで
わくわくするな
だってサンタさんに読んでもらえるから
気持ちを込めて
丁寧に字を書いてみよう

どんなことでもいいんだよ
ささいなことでもいいんだよ
手紙は必ずつないでくれる
海を越えて
山を越えて
サンタさんの暮らすところまで
どこなのかな
いつ届くのかな

僕らのありがとうのこの気持ち
また来年も会えるように
ありがとうを伝えよう

クリスマスの手前からクリスマスが終わってしばらくするまで
たくさんの手紙がサンタさんには届きます
それを読むのがサンタさんの役割
そして楽しみでもありました

サンタさんは手紙をひとしきり読み終えた後も何度も何度も読み返すのです
かすむ目で
パイプをくゆらせながら

【手紙5】

サンタさん
どうしたらピアノが上手になりますか
お友達はすらすら弾くのに
私はちっとも上手にならないの

先生はもっと練習しなさいって言うけれど
私は一生懸命やっているの

コツとかあるの
サンタさんはピアノ弾ける?
私はあんまりピアノが好きじゃないの

【手紙6】

サンタさんへ
僕はプレゼントは要りません
このセーターせっかくもらったプレゼントだけど返します
その代わりどうしてもお願いがあるのです

お母さんの病気を治してください
とっても心配です
お母さんが入院してしまったので
何か大事なものを差し出す代わりに願いが叶うと聞きます
内緒だけど

お願い
絶対ね

…サンタさんでもどうしようもないことはたくさんありますね
サンタさんはお祈りをしました

身近な親戚のおじさんのようになってもちょっと特別感がなくなりますから、あまり返事は書かないのですけど、ときどき気になったものにだけ短いお返事を書くことはありました

【お返事】

私も一緒にお祈りをしていますよ
信じる気持ちを大切に
強い気持ちをもってお母さんを励まそう

【手紙7】

去年亡くなったおばあちゃんがサンタさんにもらったと言っていたオルゴールを
私がもらったんだけど
大切にしてたのに壊れてしまったの
お店屋さんに持って行ったら型が古すぎてだめなの
サンタさんなら直せる?

お願いサンタさん


まあサンタさんも大変ですね
木の加工や小物の修理は得意ではありますけど、専門家ではないのでね

…いくつかの手紙には気持ちが残り
何度も何度も読んで
気になりつつも
サンタさんはやがて全ての手紙を木箱にしまい
トナカイに運ばせて
森の奥の大きな松の木の根元に埋めるのです

子供たちの気持ちのこもった手紙は
きっと森の精霊たちのエネルギーにもなるのです

さびしがりやのサンタクロース

※メロディーの一部をヴァイオリンで反復

春になりました
サンタさんの暮らす森の外れでも
雪が溶け
せせらぎの音が聞こえます
短い小さな春が訪れます
湖には冬を温かい南の地で休んでいた鳥たちが戻ってきます
クロッカスが小さな芽を吹き
短い春の匂いが漂ってきます

春は橇の手入れをする季節です
冬の間にさんざん使った橇のメンテナンスです

サンタさんは金槌と木片とカンナを取り出してきて
少し削ったり
取り替えたり
金槌で叩いたりして
楽しそうに橇の手入れを行っています

春が来たよ、サンタさん

雪が溶けたよサンタさん
外へ出ようよ
暖炉を離れ
森の奥
クロッカスが芽吹いてる

春が来たよサンタさん
外へ出ようよ
眠い目こすり
泉のそばへ
コケモモの花が咲いてるよ

ほら、鳥が戻ってきたんだよ
せせらぎの音がきこえるよ
クリスマスはまだ遠い
しばらくのんびり過ごそうよ

やがて
森には
色とりどりのベリーが顔を出します
サンタさんは
たくさんのベリーを籠いっぱいにして持ち帰ると
ジャムを炊くのです

クランベリー
ラズベリー
金色をしたクラウドベリー

どれもとっても美味しいのですよ

ベリーの次にはキノコの季節がやってきます
森ではそのまま冬になるまでいつでもキノコが穫れます
サンタさんはキノコも大好きなのです
そして特にキノコ料理が何より得意
年中いつでもキノコ料理を作っています

キノコに関してだけでも何百種類のレシピを持っていますが
キノコはバターで炒めるに限る
サンタさんはいつもそんなこと言ってます

キノコはバターで炒めよう

ほら
森にキノコが顔を出す
森は賑わい、ざわざわするよ
さあ
キノコはバターで炒めよう
マッシュルームにシャントレル
白キノコにポルチーニ
石づききれいに切り揃え
房に分けると
フライパンにはバターを垂らし
ニンニクふたきれ赤唐辛子
まずは弱火で炒めてみよう
次に白ワインを回し入れ
強火にしたら一気にバターとキノコを入れるのさ

さあ、回せ回せ
湯気立てて
回せ回せ
焦げないように
キノコはバターで炒めよう
ああ
この音この匂い
森はこの薫りでいっぱいだ

ほら
森にキノコが顔を出す
森は賑わいざわざわするよ
森にキノコが顔を出す
さあ
キノコはバターで炒めよう
スッピロバーベロ オラカスと
カンタレッリにアンズ茸
きれいに切り分けバターと一緒に炒めよう
塩コショウにワインを追加
最後にレモンパームを散らすのさ

さあ、回せ回せ
湯気立てて
回せ回せ
焦げないように
キノコはバターで炒めよう
ああ
この音この匂い
フライパンを2、3度振れば完成さ
キノコはバターで炒めよう

ビタミン、ミネラル、プロテイン
キノコは栄養満点
キノコ料理は命の源なのさ

でも
毒キノコだけにはご用心

北の森にも真夏がやってきます

サンタさんが暮らしているのは森と湖の間
夏は水と空気の美味しい季節です
サンタさんは恵まれた自然からもたくさんの力をもらうのです

きらきらとした日差しに誘われて森に出かけたサンタさんは
またまた大好きなことをしています

マス釣りです

陽射しが強くなり
木洩れ日が川を煌めかせる頃
つまり初夏にもなると、サンタさんは待ってましたとばかりに大好きなマス釣りをするのです

小さな船を川に浮かべて一日中釣り糸を垂らしています
あまりにも暑い日だと
時々川で泳いだりもします

浮き袋使って
それから森の中のサウナに入って
美しい空気を吸い込み
さわやかな風を浴びながら
サンタさんはのんびりと一日を過ごすのです

夜には連れたマスを焼きながらきつーいお酒を飲みます
ぱちぱちと燃える火を見ながら
釣った魚を口いっぱいに頬張りながら

お酒を飲んで
楽しく酔っぱらって
いつまでも暮れない白夜の空を見上げます

これがサンタさんの何よりの楽しみなのでした
一人ぼっちは少し寂しいけれど
自然を満喫することで
サンタさんにはエネルギーが宿るのですよ

魚釣りをするサンタさん


陽射しが川面を煌めかせ
森が微笑み浮かべる日には
釣り糸を垂れよう
小舟に乗って
心地よい風を受けながら

マス釣りならば簡単さ
餌をしかけてあとは待つだけ

鳥の声を聴きながら
森の緑を浴びながら

マス釣りならばすぐできる
糸を垂らしてあとは待つだけさ


陽射しが川面を煌めかせ
森が歌声響かす日には
釣り糸を垂れよう
岸辺に腰かけ
心地よい光を浴びながら

マス釣りならば簡単さ
餌をしかけてあとは待つだけ

木々のざわめき聴きながら
空の雲を見上げながら

マス釣りならばすぐできる
糸を垂らしてあとは待つだけさ

陽射しが弱まり夏が過ぎると
のんびり釣り糸を垂れているわけにもいかず
少しだけそわそわした季節になります

同じように陽射しがきつくても
風の音が微妙に変わっていくことでサンタさんは季節をかぎ分けます

サンタさんは
暖炉にくべる薪を割りながら
夏の終わりを過ごします

10

その頃になると
サンタさんの家には
新しい商品のカタログが届きだしたりするのです
知ってましたか?

子供用の服や
子供用のおもちゃ
靴や帽子やマフラー
本や
雑貨や文房具

子供たちのプレゼントを選ぶためにサンタさんは流行筋には敏感でなくっちゃね

流行の音楽や映画にも目を通しています
喜んでもらうためには準備も努力も必要ってことですね

サンタさんはずっと壊れたオルゴールの部品もしっかり調達していました

11

でも
ときどきふとサンタさんは寂しくなります
ずっと一人で暮らしているのですから
当然ですよね
皆さんならどうしますか

そんなときサンタさんは歌います
懐かしい歌を

過ぎていく時間を眺めながら
暖炉に薪をくべ始めながら
鍋にスープを作りながら
大好きなコーヒーの豆を一粒一粒煎りながら

さびしさを紛らわすため
ソファに腰をかけ
ギターを弾き弾き
サンタさんは歌を歌います
若い日の歌を
子供たちが良く歌ってくれた歌を
そして良く一緒に歌った歌を
よく聞いた懐かしい歌を

涙は風船のようになって部屋の中に浮かんでいきます
部屋は風船でいっぱいになって、それでちょっと気分も紛れるのです

思い出すのはクリスマスの日

思い出すのは
クリスマスの日
僕らは森へ出かけて木を切った
きれいなCrismastreeにするために
金の鈴を飾ったものさ

思い出すのは
クリスマスの日
僕らはいちじくのパイを焼き上げた
白いテーブルクロスを敷いて
銀の食器を運んだものさ

思い出すのは
クリスマスの日
僕らは部屋をきれいに片付けた
サンタクロースが来るように
大きな靴下吊るしたものさ

思い出すのは
クリスマスの日
僕らは部屋の暖炉を囲んでた
明るい歌と音楽が溢れ
大きな笑顔が弾んだものさ

思い出すのは
クリスマスの日
一人で雪の積もる音を聴いた
楽しい夢に包まれて
いつしかぐっすり眠ったものさ

今では遠い昔のこと
でも、ときどき思い出す
懐かしい故郷の
クリスマスの思い出さ

12

秋が深まると
サンタさんは木を使っていろんな物を作り始めます
手作りのコップやスプーン
おもちゃや雑貨
切ったり彫ったり
組み立てたり
木の扱いはお手の物
手作りの汽車やお人形が次々出来てきます

最新のロボットやテレビのヒーローだけでは味気ないでしょう
小さな子供には喜ばれるかもしれません

サンタさんはこの頃になると細かな部品を調達して手紙とともに送られてきたオルゴールの修理まで終えています

それから色とりどりのキャンディーを作ったりもしています
ペパーミントやベリーの味付けをしながら

子供たちからは
新たに手紙が届き始めます
こんなプレゼントが欲しい、とかなんとか

早くクリスマスが来て欲しいと思っているのは子どもだけでないのですね
サンタさんもそわそわしてきます
早く子供たちと会いたいな…
早く街に行って色とりどりの灯りや賑わいを味わいたいな…
そんなことを思いながら

13

大地は徐々に凍てつき
湖には氷が張りだします
生き物たちは静かな眠りにつき
森にも冬が近づきます
サンタさんはラジオを付けて街の様子を探ったりもしているのです

今年の雪は多いらしい
今年はこんな歌が歌われているらしい

そうやって雪が降るのを待ちます
指折り数えてクリスマスが近づくのを心待ちにするのですね

雪が降ってきた

静かに静かに雪が降る
森には雪が降ってくる
花びらのようにひらひらと
真綿のようにふわふわと
白い雪が降ってくる
森には雪が降ってくる

静かに静かに雪つもる
森を雪が埋めていく
小路も草も湖も
真っ白な雪が積もり出す
木の葉も枝も雪化粧
森を雪が埋めていく

14

さあ
雪が降ってきました
森はあっという間に真っ白な王国です

サンタさんは窓から降り積もる雪を見ています
早々と届いた手紙に目を通しながら
高まる気持ちを抑えながら

今年もクリスマスのシーズンが近づいてきましたね

15

クリスマスが近づくと
森は静まりかえります
森の精霊たちも特別の力を宿すときと言われています

冬眠せずに起きている動物たちの音にまぎれて
遥かな遠くから鐘の音が聞こえてきます
小さな祈りの音

サンタさんはトナカイの世話をし
入念に橇の手入れをしながら
橇に鈴を付けます
クリスマスが近づくとつける特別な鈴です
鈴の音には祈りや願いがこもっているのですね

【手紙8】

サンタさん
素敵なことがありました
お母さんが退院して帰ってきてくれました

僕はもう去年より大きいからセーターは要りません
サンタさんが願いをかなえてくれたのでプレゼントなんて要りません
他の人にあげてください

サンタさんありがとう
サンタさん大好きだよ

【手紙9】

サンタさん
私はまだちっともピアノが上手にならないの
どんな教則本でも駄目ね
プレゼントに
ピアノの上手になる魔法の手袋ください

【手紙10】

サンタさん
僕は世界が平和になってほしいと思っています
戦争をしている国や、とても子供が学校へ通えないほど貧しい国があると知りました
そんなところににはサンタさんがいないのでしょうか
その代わりに僕らが何か出来ることがあればいいな

【ナレーション11】

いろんな手紙が来るのですね
サンタさんも喜んだり困ったり、考え込んだり大変です
でも、子供たちと手紙を通じて会話をすることもサンタさんの楽しみでもあったのです
クリスマスが近づくとサンタさんの胸は高まるばかりでした

【手紙11】

サンタさん
覚えていますか
30年前に
僕はサンタさんにもらったプレゼントが忘れられません
サンタさんは僕に温かい帽子をくれました
僕は泣き虫だったけど
サンタさんからもらった帽子に勇気をもらった気がしていたのです
サンタさんが見てくれているから頑張ろうと思ってたのです
あの頃お礼の手紙を書けばよかったのですが思い浮かびませんでした

僕は結婚をし
この冬の子供が出来ました
またいつか覗いてください
サンタさんからもった帽子はに切にとってあるので、そのうちこの子に被せるつもりですよ

…時々大人からも来るのですね?

あの子にも会ってみたい
あの子は大丈夫かな
あの子はどうしたかな?


…って、本当にわくわくするのでした

【ナレーション13】

サンタさんはトナカイの世話をし
入念に橇の手入れをしながら
橇に鈴を付けます
クリスマスにつける特別な鈴です
鈴の音には祈りや願いがこもっているのです

クリスマスが来たよ

ディンドンディンドン
クリスマス
クリスマスが来たんだよ
さあ
街に出てみよう
色とりどりの灯りの中を歩いて
道行く人と笑顔を分け合おう

ディンドンディンドン
クリスマス
クリスマスが来たんだよ
さあ
ひいらぎ飾ってみよう
色とりどりのリボンと一緒に
家の中まで明るくしよう

ディンドンディンドン
クリスマス
もうすぐ楽しいクリスマス
微笑みの音が聞こえるよ
橇の引く音が聞こえるよ

ディンドンディンドン
クリスマス
もうすぐ楽しいクリスマス
明るい声が聞こえるよ
僕らの呼んでる声が聞こえるよ

16

さあ
待ちに待ったクリスマスイブの到来です

サンタさんは随分早起きしてしまいました
まだまだ眠たそうにしいるトナカイを起こすと、とびっきりのごちそうを食べさせました
蜂蜜入りのブレッドです

トナカイがそのごちそうを平らげた時がいよいよ出発です
サンタさんはたくさんのプレゼントを橇に積んで、それをトナカイに引かせると張り切って家を出発しました

トナカイが森から街へ続く雪道を駆けだします
橇が滑ります
鈴の音鳴らして
クリスマスの到来を森中に知らせながら

真っ白な風景の中をどんどんどんどん走っていきます
何しろ
サンタさんの住んでいる森は街からは随分離れているのですから
トナカイは頑張って走ります

やがて
街が見えてきます

17

たくさんのプレゼントを積んだ橇とサンタさんは街にたどり着きました

街にはサンタの格好をした人がたくさんいますね
皆さんは本当のサンタさんがそこに紛れ込んでいることに気付いてましたか

街には
音楽が流れ
色とりどりの灯りに溢れて賑わっています

あらゆるところにクリスマスツリーやクリスマスリースが飾られています
サンタさんはなじみのケーキ屋さんの前の街灯にトナカイを繋ぎとめると
ご褒美にケーキ屋さんに分けてもらったクリスマスケーキを食べさせてやります

そしてサンタさんは賑わう街を歩きます
自分で橇を引き
鈴の音鳴らしながら

気になる家を少しずつ覗き込みます

手紙の少年は元気でした
退院したお母さんの姿も見えました
母親思いの少年のためには
母とのお揃いのマフラーをそっとプレゼントしてみました

昨年返された小さなセーターは彼の弟にプレゼントしました
サンタさんはほっとしました

この冬パパになったあの子
立派に成長して学校の先生になっているようです
サンタさんは寝かしつけられた赤ん坊の頬にキスをしました
新米のママとパパにはウィンクをして

オルゴールの女の子は留守だったので
メリークリスマスとだけ紙に書いて彼女の机の上にそっとおいておきました

ピアノが上手にならないあの女の子
どうしてるでしょうね


サンタさんはいろんな家を覗き込みます
煙突から入ってみたり
窓の外からのぞき込んだり
玄関のチャイムを鳴らして笑顔で挨拶することも

みんなにとって良いクリスマスになりますように
世界中の人にささやかながら良い時間が訪れますように
憩いや
希望が
訪れますように

サンタさんの願いはそれだけでした

特に子供たちが
明るくのびやかに過ごしてくれますように
元気に未来を夢見てくれますように
いつもそう思い
祈っていました
皆さんと同じように

さあ
楽しいクリスマスです

さあ歌おう、クリスマスの歌を

さあ
歌おう
クリスマスの歌を
ノンノンノエルのクリスマス

さあ
鈴を鳴らそう
手を叩こう
ステップ踏もう

みんな笑顔になって
クリスマスの歌を歌おう

世界中の子供たちが
手を繋ぐと
地球は一つになる
未来の扉は開かれる

さあ
歌おう
クリスマスの歌を
ノンノンノエルのクリスマス

さあ
歌おう
クリスマスの歌を
ノンノンノエルのクリスマス

さあ
鈴を鳴らそう
手を叩こう
ステップ踏もう

みんな笑顔になって
クリスマスの歌を歌おう

世界中の子供たちが
手を繋ぐと
地球は一つになる
未来の扉は開かれる

さあ
歌おう
クリスマスの歌を
ノンノンノエルのクリスマス

みんなのクリスマス

幸せを分けましょう
みんなのクリスマスだから

喜びを分けましょう
みんなのクリスマスだから

一人より二人のほうが
良いでしょう
笑顔の数も増えるでしょう
歌声の数も増えるでしょう

18

サンタさんは回れる限りの家を回っていきます
プレゼント持って
寂しげな子供がいると
手をとって笑顔で覗き込みます
そして
歌を歌います

泣いてた子供がいると
涙をぬぐってやり
ほっぺたにキスしてあげます

楽しい家庭があると一緒にダンスを楽しみます

本当にサンタさんにとって
一番うれしい一日なのです

そうそう
あのピアノの苦手な女の子
サンタさんは女の子の家に行って一緒にピアノを弾いてみました
とびっきり楽しい音楽を
するととたんに女の子の目は輝き
ピアノに興味を持ってくれました
きっと、魔法の手袋なんてなくてもあとは勝手に上手になるでしょうと
サンタさんは思いました


素敵なクリスマス
世界がひとときの安らぎとやさしさを求めるとき
世界がひとたびの希望を見出す日
世界が心を合わせる日

世界の平和を願う少年には寝静まった頃に髪をそっと撫でておきました
想像力のある立派な人に育ってほしいと願いました

19

やがて
クリスマスの夜は更けていきます

空には
オーロラが輝き
煌めく星がさえわたります

賑やかだったパーティも次第に終わりを告げ
子供は寝床で目を閉じて
代わりに夢の扉が開いていきます

大人たちはゆっくりと
物語を語り始めます
寄り添って
昔の話
遠い世界の話

世界にはやさしさが染み渡っていくのです

おやすみグッドナイト

おやすみ
おやすみ
グッドナイト
瞳閉じれば夢の扉が開きます
あなたの未来

楽しい夜が更けていく
星空静かに広がって
あなたの寝息を聴いてます
クリスマスの鐘が響きます

おやすみおやすみ
グッドナイト
クリスマスツリーが揺れ動く
おやすみ
おやすみ
グッドナイト
瞳閉じれば夢の扉が開きます
あなたの未来

楽しい夜が更けていく
星空静かに広がって
あなたの寝息を聴いてます

おやすみおやすみ
グッドナイト
クリスマスツリーが揺れ動く

20

サンタさんは窓から子供たちの顔を覗き込むと
名残惜しそうに何度も振り返りながら帰ってきます

一年で一番楽しい日
そして最後にはちょっと寂しい日
でも
いいのです
サンタさんは自分が子供たちの心とつながっていると思うことで
また一年頑張って過ごせるのです

いつまでもいつまでも
子供たちの夢が
サンタさんの心なのですね

思い出すのはクリスマスの日

思い出すのは
クリスマスの日
僕らは森へ出かけて木を切った
きれいなCrismastreeにするために
金の鈴を飾ったものさ

思い出すのは
クリスマスの日
僕らはいちじくのパイを焼き上げた
白いテーブルクロスを敷いて
銀の食器を運んだものさ

思い出すのは
クリスマスの日
僕らは部屋をきれいに片付けた
サンタクロースが来るように
大きな靴下吊るしたものさ

思い出すのは
クリスマスの日
僕らは部屋の暖炉を囲んでた
明るい歌と音楽が溢れ
大きな笑顔が弾んだものさ

思い出すのは
クリスマスの日
一人で雪の積もる音を聴いた
楽しい夢に包まれて
いつしかぐっすり眠ったものさ

今では遠い昔のこと
でも、ときどき思い出す
懐かしい故郷の
クリスマスの思い出さ

21

サンタさんのお話は今日はおしまい
皆さん
心優しくで
さびしがりやで
お茶目なサンタさん
見かけたら手をふってあげてくださいね
いつもありがとう
って言ってあげてくださいね
そして
さびしくないよ!
いっつも僕たちの心の中にいるよって
言ってあげましょうね

いつか皆さんがサンタさんのように、心穏やかに誰かにやさしく出来る日が来ますように

ね、
メリークリスマス

カーテンコール

お寝坊トナカイ

お寝坊トナカイ夢の中
クリスマスの朝にも寝坊して
サンタのおじさんに起こされた
さあ大変だ間に合わない
今夜は楽しい夜なのに

それ、雪道走れ
ソリ引き走れ
街まで走れ
お寝坊トナカイ張り切って
風より早く走れ
子供たちの枕元へ

お寝坊トナカイ雪の中
鈴の音鳴らして息切らし
まっ白い坂道駆けていく
さあ急がないと間に合わない
今夜は特別な夜なのに

それ、雪道走れ
ソリ引き走れ
街まで走れ
お寝坊トナカイ頑張って
風より早く走れ
たくさんのプレゼント乗せて

お寝坊トナカイ森を越え
野原を飛び越え丘越えて
ようやく灯りが見えてきた
さあもうすぐだ一息だ
今夜は大切な夜だから

それ、雪道走れ ソリ引き走れ 街まで走れ
お寝坊トナカイ全速力で 
風より早く走れ
子どもたちの笑顔目指して



作曲:松波千映子   2016