午後

都会は真夏の日差しがきつく照りつけ
午後は止まっているかのように見えた
人影はなく
あのビルも
街角も
何か違和感があった

陽炎が立ち上るコンクリートの果てに
きらめく海が見えた

都会は夢を見ているのか
私が夢を見ているのか
日差しの中で
あらゆる構築物が海に飲み込まれるような気がした
文明というものが
人類の歴史全体が大きな幻ではないだろうかと思った

アスファルトは大地を這う川のように水を走らせていた


2010.12.1