チェロ

両脚を大きく広げ
挟み
抱き
いとおしむようにして
音を出すチェロ

チェロの音色は一本の線となり
地表を舐め
樹液と共に吸いあがり
葉脈を震わせる

憂愁と悦楽とを行き来し
眠りと官能とを跨ぐようにして
魂の深みに手を伸ばす

このあたりに宇宙があるのか
このあたりに地下水があるのか
探りながら
音を紡ぎ出しているのだ


2010.12.1