月影映す夜の川に佇み
その青白い幻影に向けて握り締めた銀貨を投げ捨てた青年は
全ての絆や繋がり鎖を断ち切り
襟を立てて歩き去った

孤独は憂鬱に
焦燥は苛立ちに移ろい
他人に向けた刃は
自らに胸に差し込まれている

青年が投げ捨てた銀貨は
川底より深い苦悩と絶望と悔恨の底に沈み込んでいく


2010.12.1