その泉は
かつては
草原のオアシスと呼ばれた
数百もの驢馬が繋がれ商人が水を汲み
近くには大きな宿場街があった

時が過ぎ
泉の水量が減ると
賑わいは消えた

石畳の道は誰も通らなくなった
僅かな水が今では小さな泉として残り
睡蓮の花だけが咲いている

泉はいつからか睡蓮を愛し
睡蓮のために静かな生活を望んだのだのだった

賑わいが懐かしくなることもあったが
泉は幸福な日々を過ごしている


2010.12.1