夕焼け

夕焼けは
少し涙の味がした
悲しくて、一人で帰ったあの日
涙を拭ってから握った家のドア
振り返った空は紅(くれない)に染まっていたよ
誰かの頬っぺたのように
穏やかな優しい色だった

夕焼けは
少し涙の味がした
悔しくて、走って帰ったあの日
曲がり角で見つけた家の灯り
見上げた空には薔薇色の雲が広がっていたよ
誰かの手のひらのように
柔らかくてほっとする色だった

ゆうやけは命の色
傷から滲む僕らの血のいろ
何かが熱く燃えている

ゆうやけは微笑みのいろ
ふくらんだつぼみの色
なつかしい思い出が蘇る

夕焼けの声が聞こえるよ

悲しいことは明日の夢になればいい
悔しいことは明日の勇気になればいい

誰かの歌が聞こえるよ
少し涙の味がする
夕焼け空の向こうから


2012.3.1
作曲:松下 耕  ユウキノウタ 2012