ウォッカの話をさせてくれ。ウォッカだ。孤独と喜びの水の話だ。うーん、いや違う、ウォッカだ。
心も身体も温めてくれるあの魔法の水のことだ。
何といってもわしのように年中寒い雪国に住んでいると、薪割をして温まるか、ウォッカを飲んで温まるしかないわけだ。特に雪の晩にゃあ、背を丸くして薪や暖炉に近づき、大きめのグラスにウォッカを注ぐ。ウォッカはライ麦やジャガイモを材料にした蒸留酒だよ。バイソン草を漬ければズブロッカさ、小麦や大麦を使ったものもある。しかし、わしが好きなのは、白樺シロップ入りのウォッカだ。
どんなものかって?
もちろんご存じであろう、白樺の木肌をナイフで傷つけると樹液が染み出すことくらい。それを集めて、ウォッカに溶かし込むんだよ。そんなふうに飲んでいるのはわしくらいのものなので、そのことについてはあまりご存じあるまい。ベリーや薬草を漬けるより良いさ。ほんのり甘い香りがするんだ。白樺の香りがするんだよ。白樺の香りがするということは大地と大気の香りがするということさ。世界を味わうフレバリーウォッカというわけさ。
何しろ、クリスマスになるまでは、することもなく話し合い手もないもんでね。孤独なんだ。いや寂しいわけじゃないよ。孤独という人生の醍醐味を味わってるのさ。ただ、相棒が欲しいのでね。わしはトナカイに飲ますのさ。たいそう旨そうに飲むんだよ。
えっとなぜ、あんたのところにプレゼントが届かなかったって?
そりゃすまんな、白樺ウォッカを飲みすぎたトナカイが酔っ払って道を間違えたんだよ、許しておくれ、来年はいくからな。とびっきりのプレゼント持って。
まあまあプレゼントが人生のすべてじゃないんだから。
という訳さ。
何の話だっけ。
届かなかったプレゼントの話じゃない?トナカイの鼻はなぜ赤いか?。そうだそうだ、白樺の樹液で作ったウォッカを飲んでしまったのさ。旨いからな、いつも飲みすぎるんだよ。わしの責任さ。わしか?
まあ、そこは匿名にしておいてくれよ。子どもたちの夢を壊したくないんでなあ。
でも、どうしても白樺の樹液入りウォッカはやめられんのよ。
今度一緒にやらんかね。
ソーセージに鮭の燻製、それと硬いチーズでな。
なぜってなぜって知ってるかい
トナカイの鼻が赤いのは
赤いベリーを食べたから
いやいや
おいしいウォッカを飲んだから
白樺の樹液で作った美味しいウォッカを飲んだからさ
はっはっはっは
ランランラン、リンリンリン、ルンルンルンルンルン
ああ、寒い夜にはやめられない
ほどよい甘さの白樺ウォッカ
おかげで元気に走れるよ
時々寄り道するけれど
時々いっぷくするけれど
みんな楽しいクリスマス
プレゼントは忘れない
ランランラン、リンリンリン、ルンルンルンルンルン
なぜってなぜって知ってるかい
トナカイの鼻が赤いのは
ひいらぎの実飾ったから
いやいや
おいしいウォッカを飲んだから
白樺の樹液で作った美味しいウォッカを飲んだからさ
はっはっはっは
ランランラン、リンリンリン、ルンルンルンルンルン
ああ、雪降る日にはやめられない
ほどよい香りの白樺ウォッカ
おかげで陽気に歌えるよ
時々道にも迷うけど
時々滑って転ぶけど
みんな楽しいクリスマス
プレゼントは忘れない
ランランラン、リンリンリン、ルンルンルンルンルン
2023
作曲: 2023