あの春の日

あの春の日に
二階の窓から飛ばした紙飛行機は
どこまで飛んでいったかしら
桜の花びらにまぎれるように
空に飛ばした紙飛行機
あの人の名前を書いた紙飛行機は

あの春の日に
ブランコ漕ぎながら歌った歌は
どこまで聞こえたかしら
新芽を捜しに出かけた公園で
自分のために歌った歌
空と大地を交互に見ながら歌ったあの歌は

あの春の日に
校庭の隅のベンチで流した涙は
どこに消えていったのかしら
何もない西の空を眺めながら
悔しくて流した涙
寂しくて流した涙
何かが失われることに怯え
何かが変わること従順になる覚悟の涙
ただひたすらに一人で泣きたかったあの午後の涙は
どこに消えていったのかしら


2011.5.16