言葉のメモワール

バス


乗り合いバスは夕暮れの山道を走った
カーブを揺れながら
停留所ごとに乗客が一人ずつ減り
薄暗い車内には小さな不安が立ち込めた

ふと外を見ると懐かしい街角を通ったような気がした
確かに山道のはずなのに
しかし、誰も声を出さない
乗客は黙って降車ボタンを押すだけだ

私たちはどこからきてどこに向かっているのだろう
夕暮れの山道を






2010.12.1

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