かえる 雨あがり (全13ページ)




紫陽花の葉陰にカタツムリが見えた
カタツムリは這うようにゆっくり動いていた
岩壁にはナメクジがいた
なめくじは動かないように見えた
茨には蝶の幼虫が葉を食み
湿った土の匂いがする
蛙は時々目を閉じた
そしてまた開いた

その行為において
蛙は世界を把握し咀嚼しようとしているのであった
なぜなら
世界は見えるものと見えないものによって成り立っていると思ったからである
時々目を閉じることによって
物事をイメージに捕らえなおす
人間なら言語というところだろうか




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