さびしい魚のおはなし




海に汽笛が響いた
大きな貨物船が通っていった

魚は船が通り過ぎるのをずっと見守っていた
なぜ船が通るのだろう
でも、船の形はなかなか素敵だし、汽笛の音を聞くとつい何かを思い出しそうになる
そして、とても感動的だ
そうか、
船が通るということは「何かと何かが結ばれる」ということなのか
「海は何かと何かをつないでいるのか」
そう考えて得意になる自分を別の自分が制した
「いや海は何かと何かを分断しているのではないか」
だから船がつないでいるのではないか
そうか、そういうことか?
でも分断されているから繋がることが感動的なんじゃないか…、
そこまで考えてやめた

海があるから船があるのではなく…
海はきっと船のために存在してるんだ

呟いた瞬間、それも違うような気がした
難しい問題なのかもしれない






Copyright©Minazuki.Minori All rights reserved